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猛スピードで成長するBYDの原動力とは。工場見学と超高速充電を現地で体験−上海モーターショー番外編
4月の上海訪問では、同市から170km北西の常州市にあるBYDの完成車工場と販売店を訪れる機会がありました。直近の5年間で販売台数を10倍に伸ばして427万台(2024年)とし、一気にホンダや日産を抜き去って世界第7位の自動車メーカーに躍り出たBYDは、近年の自動車産業史に例をみないスピードで成長を続けています。日本でも軽自動車市場に参入することを表明した同社ですが、ここでは現地の生産工場や販売店で目にした最新の状況を報告します。(タイトル写真:上海モーターショーで展示されたBYDの「漢(ハン)L 黒神話:悟空」。大人気のアクションゲームのタイトルにちなんだ特別モデルで、EV仕様は100...
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12年ぶりの上海モーターショーで見えた中国自動車社会の変貌。5年後に欧州の高級車は上海から姿を消す!?
2025年4月23日から5月1日まで中国・上海市で開かれたモーターショー「Auto Shanghai 2025」に12年ぶりに出かけると、その変化の大きさに目を見張りました。国内便の主要発着場である虹橋(ホンチャオ)空港には巨大な鉄道のターミナル駅やショッピングモールが隣接し、2016年にオープンした「国家会展中心(上海)」は地下鉄2号線で空港の次駅から徒歩数分と至便な立地にあります。中心部の観光名所である外灘(ワイタン)の夜景は煌びやかさを増し、そこから西に伸びる南京東路は平日でも多くの人で賑わっています。若者に人気のトレンディな張園・茂名北路や、ハイブランド店が立ち並ぶ静安寺周辺では...
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12年ぶりに日本のファンに姿を見せたカーデザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏が語ったこと
20世紀最高のカーデザイナーとして、自動車業界やクルマファンの間で知らぬ人はいないジョルジェット・ジウジアーロ氏が、10周年を迎えたクラシックカーショーである「オートモビルカウンシル2025(4月11〜13日開催)」に来日し、2日間にわたるトークショーで日本のファンの前で自身の作品やデザインへの思いを語りました。ジウジアーロ氏が日本の公の場で姿を見せたのは、2013年に行われた7代目フォルクスワーゲン ゴルフのプレス発表会以来のはずで、当時フォルクスワーゲンジャパンの広報責任者だった筆者がその時に聞いた話の内容も交えながら、語られた言葉の意味を紐解いてみたいと思います。(タイトル写真:マ...
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底なしのトランプ関税ショック。世界は、自動車メーカーは、どう対応するか
2025年4月3日、トランプ大統領は予告どおり10%の一律関税と約60カ国に対する相互関税(reciprocal tariff)を発表しました。中国34%、日本24%、EU20%、ベトナム46%など予想を超える高い関税率に世界は驚き、株式市場は大暴落してまだ底が見えない状況です。しかしトランプ氏は、「時には苦い薬も必要だ」と怯む様子はありません。中国は即座に米国の全輸入製品に同率の34%の関税を課して徹底的に戦う構えですが、EUは「工業製品の相互ゼロ関税」を提案して拙速な報復には出ず、周囲からの圧力でトランプ氏が軟化するのを待つ戦略です。自動車メーカーも、ジャガーランドローバーやアウディ...
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トランプ関税、輸入車一律25%の衝撃。日本や欧州、そして米国の自動車メーカーに与える影響とは
2025年3月26日、トランプ大統領は、米国に輸入するすべての乗用車に一律25%の関税を課す大統領令に署名しました。4月2日から発効し、翌3日から徴収が始まります。また、1カ月の猶予を置いていたUSMCA(※)対象のメキシコとカナダからの輸入車についても、米国産部品の割合を引いた率で課税するほか、エンジンやトランスミッションといったパワートレーンの部品や電装パーツなども対象となります。経済への影響の大きさから25%といった高率の課税はしないのでは、という関係者の見方を覆す今回の決定は、自動車産業や米国市場にどういう影響を与えるでしょうか。(写真:スバルが日本から米国に輸出するフォレスター...
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フォルクスワーゲンとBMWの決算から見るドイツ自動車メーカーの逼迫度
フォルクスワーゲン(VW)グループが2025年3月11日に発表した2024年の決算は、売上高(3250億ユーロ=52兆円 ※)は対前年比で微増(+1%)でしたが、営業利益(191億ユーロ=3兆円)は高水準の研究開発や設備投資、中国市場での販売の落ち込み(−9.5%)などの影響で−15%の減益となりました。また、同月14日に発表されたBMWの決算も、EV販売は伸びたものの、中国市場の不振などで売上高と営業利益ともに減少しています。EVやSDVへの開発投資や国内メーカーとの競争が激化する中国市場の対応を迫られている両社の現状を決算から探ってみます。※:1ユーロ=160円で計算(タイトル写真:...
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トランプ関税に振り回される自動車産業。落としどころはどこなのか
2025年2月28日にホワイトハウスで計らずもテレビカメラの前で演じられたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の応酬に世界は驚愕しました。ウクライナ戦争の停戦が遠のいて大きな落胆と幻滅を経験した米国の同盟国や隣国は、今度は「タリフマン(関税男)」を自称するトランプ大統領の関税政策に右往左往している状況です。3月4日に発動されたメキシコとカナダに対する25%の関税は、翌日にはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)で非関税となっている自動車製品は1カ月の猶予措置が発表され、翌々日には同協定の対象品全てに猶予が拡大されるという目まぐるしい展開で、産業界や株式市場は混乱しています。果たしてこの関...
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新型CLAは3月下旬に発表。GLCやSクラスなど新世代製品群の到来を告げたメルセデス・ベンツ投資家デー
2025年2月20日、メルセデス・ベンツがドイツ3大自動車メーカーのトップを切って2024年の決算を発表するとともに、投資家デー(キャピタルマーケットデイ)を開催しました。2024年の業績は、売上高が1456億ユーロ(23兆3000億円、前年比−4.5%)、税引き前利益(EBIT)が136億ユーロ(2兆2000億円、前年比−30.8%)の減収減益でしたが、2025年発売の新型CLAを皮切りに、2027年までに30車種以上を投入すると同時に、生産能力の10%カットを含むコスト削減により、8%に低下した乗用車部門のROS(売上高利益率)を二桁に回復する計画です。また、長期的なEVシフトには変...
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EV強制よりトランプ関税の方がマシ? −米国自動車販売店の本音とは
米国では、2025年2月1日にトランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税をかける大統領令を出したものの、すぐに1カ月延期するなどさっそく予測できない展開で市場は混乱していますが、自動車ディーラーはトランプ大統領下でのビジネスをどう見ているのでしょうか。米オートモティブニュース(AN)が124社の販売店に対して調査した結果や、NADA(全米自動車ディーラー協会)の年次総会に合わせて、AN紙が行った各ブランドの販売店協議会の会長インタビューなどから読み解いてみます。(タイトル写真は、2024年40万台を米国で販売したホンダCR-Vを生産するカナダのオンタリオ州アリストン工場。...
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2024年の欧州(EU)のEV販売台数はマイナス5.9%と失速。今年厳格化するCO2規制の緩和はあるのか?
欧州自動車工業会(ACEA)は、2025年1月21日、2024年(1〜12月)の乗用車販売台数を発表しました。スイス、ノルウェーなどのEFTAとイギリス(UK)を含めた総販売台数は、前年比+0.9%の1296万台。EVはマイナスとなる一方、ハイブリッド車は+19.6%と躍進しました。2025年からEUのCO2排出基準が2021〜2024年比で約15%厳しくなるため、多数のメーカーが未達成となり1gにつき1台あたり95ドルという多額の罰金の支払いを余儀なくされる可能性があります。自動車メーカー団体は規制の緩和を要請しており、EUも検討に入るようですが、果たしてどんな対策が打ち出されるでしょ...
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テスラvs.ウェイモ、完全自動運転への正反対のアプローチ。モービルアイは第3の道を探る。CES 2025レポート(後編)
2025年1月8日(日本時間)、米ラスベガスで開幕したCESは、予想通りAI一色の様相を呈していました。スマートホームやSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)など、メガOEMやティア1サプライヤーの展示内容そのものは前年と大きくは変わらなかった印象ですが、2024年より一層AIにフォーカスした印象です。自動車においては、大規模言語モデル(LLM)と生成AIによるIVI(イン・ヴィークル・インフォテイメント)と自動運転(AV=Autonomous Vehicle)への流れが加速し、これから実装されていく技術がより明確になってきました。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOの基調講...
Official Staff
NVIDIAは自動運転でも世界最強なのか。CES 2025レポート(前編)
2025年1月8日(日本時間)、米ラスベガスで開幕したCESは、予想どおりAI一色の様相を呈していました。スマートホームやSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)など、メガOEMやティア1サプライヤーの展示内容そのものは前年と大きくは変わらなかった印象ですが、2024年よりも一層AIにフォーカスした印象です。自動車においては、大規模言語モデル(LLM)と生成AIによるIVI(イン・ヴィークル・インフォテイメント)と自動運転(AV=Autonomous Vehicle)への流れが加速し、これから実装されていく技術がより明確になってきました。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOの基...