Official Staff
【海外トピックス】欧州1〜6月の乗用車販売は「ハイブリッドが躍進。EVは足踏み」をどう見るか
ACEA(欧州自動車工業会)が7月18日に発表した欧州(EU+EFTA+UK)の2024年上半期の乗用車登録台数(687万台、前年同期比+4.4%)は、BEV(※1)のシェアが13.9%と昨年同期の14.2%から減少したのに対し、ハイブリッド車(HEV)(※2)のシェアが29.9%と前年の25.8%から躍進しました。BEVの減少の主たる原因は最大の市場であるドイツでの低迷で、政府のEV補助金があるフランスやイタリアではBEVのシェアは伸びています。メーカー別では、HEVが好調のトヨタが+15.2%で、これにBMW(+12.4%)、シトロエン(+13.8%)やボルボ(+34.8%)などが続...
Official Staff
【海外トピックス】フォルクスワーゲンが米新興EVメーカーのリヴィアンに巨額投資をする理由
2024年6月25日、フォルクスワーゲンはアメリカの新興EVメーカーであるリヴィアン(Rivian)に2026年までに総額50億ドル(8,000億円)を投資し、将来のSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)のE/Eアーキテクチャやソフトウェアを開発するJ/V(ジョイントベンチャー)を設立すると発表しました。昨年7月に、中国新興EV御三家の一つであるシャオペン(Xpeng=小鵬汽車)に7億ドルを出資をして4.99%の株式を取得するとともに、同社のプラットフォームを使用して2026年に2車種の中型車を発売すると決めたVWですが、今回のリヴィアンへの投資はその7倍以上の規模になります。...
Official Staff
【海外トピックス】「EV」の話はほとんどなかったテスラの株主総会が意味するところ
2024年6月13日、テスラは米テキサス州オースティンの工場で株主総会を開催しました。開催前から話題をさらったのが、560億ドル(8兆7000億円)に上るイーロン・マスク氏への業績報酬です。「マスク氏のお友達で構成される報酬委員会が決めた理不尽な額であり無効」と一部株主が提訴した裁判では、今年1月にデラウエア州の判事が無効と判断した空前の額のパッケージですが、株主投票では72%の賛成で再度支持されました。投票結果の発表に小躍りしながらステージに登場したマスク氏は、自動運転や人型ヒューマノイドロボットのオプティマスの話に多くの時間を割き、EVビジネスに関するプレゼンテーションは駆け足という...
Official Staff
【海外トピックス】EUが中国製EVに対する追加関税を発表。ドイツは反対。では一体誰のため?
2024年6月12日、欧州委員会(European Commission)は中国政府の補助金を受けた中国製EVが欧州での公平な競争を妨げ、欧州メーカーに被害を与えているとする調査の仮決定を発表し、17.4%から38.1%の追加関税を7月4日から課すと発表しました。これに対して、BMWやVWなどのドイツ自動車メーカーは、「関税の応酬は世界の貿易にマイナス」、「EVの需要減速時にさらなる打撃」といった反対声明を発表し、ドイツ政府もこれに同調しています。今回の調査の黒幕はフランスという見方もありますが、そのフランスもルノーは中国製EVを欧州に輸入しており、ステランティスも中国のリープモーター(...
Official Staff
【海外トピックス】マスタング マッハEにラリーバージョン登場。EVが浸透する一手になる?
フォードは、同社の最量販EVである「マスタング マッハE」の2024年モデルに、車高を高めたラリーバージョンを開発、このほど本格的なデリバリーを開始しました。テスラを筆頭にEV販売の減速が伝えられる米国ですが、フォードはEVへの投資を遅らせる一方で、今回のラリーモデルのような車好きに刺さるモデルも開発しています。また、ステラティス傘下のジープやダッジも初のEVを今秋導入します。こうしたスペシャルティーの高いモデルが、EVが市場に浸透するのに一役買うことが期待されます。(タイトル写真はフォードマスタング マッハE ラリー。同社メディアサイトより)
Official Staff
【海外トピックス】ステランティスの対中国戦略が賢明かもしれない理由
先月の北京モーターショーで姿を見かけなかった欧州ブランドに仏プジョーとシトロエンがあります。2015年には両ブランド合わせて中国で年70万台を販売していましたが、昨年は8万台まで落ち込み、ステランティス社は1992年以来の東風汽車との合弁会社である神龍汽車の資産を東風に売却しました。また、チェロキーやコンパスなどを生産し人気を誇ったジープブランドも販売低迷で広州汽車との合弁会社を2022年に清算し、現地生産から撤退しています。中国撤退のシナリオも濃厚かと思われた中、ステランティスは新興NEV(新エネルギー車)メーカーであるリープモーター(零跑汽車)との提携に踏み切りました。果たしてどうい...
Official Staff
【海外トピックス】中国自動車市場の激変。10年ぶりの北京モーターショーで感じたこと
4月25日にメディア向けに開幕した北京モーターショーは、前回の2022年がコロナで中止になっているので4年ぶりとなります。主催者によれば、総出店社数は1500社、ワールドプレミア117台(うち海外メーカーのもの30台)、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)など新エネルギー車(NEV)だけで278台が展示面積22万平方メートルを埋め尽くす巨大なモーターショーで、筆者が北京を訪れたのは実に10年ぶりとなります。中国産ブランドの市場シェアが5割を超え、かつて圧倒的な存在感を示したドイツのフォルクスワーゲンやGMなどの欧米のブランドや日本の自動車メーカーが急速にシェアを落としているニュース...
Official Staff
【海外トピックス】プラグインハイブリッド車のCO2排出量は認証値の3.5倍に達するとEUが発表
欧州委員会は3月、2021年から義務付けられた車載コンピュータのデータ60万件の分析結果として、内燃エンジン車やプラグインハイブリッド車(PHEV)などのCO2排出量を発表しました。自動車メーカー各社から集められたデータによれば、ガソリン車やディーゼル車の実際の排出量と認証値の差が+20%前後だったのに比べ、PHEVではこれが平均で3.5倍にも上るという結果でした。PHEVの場合、想定したよりも遥かに低い頻度でしかEV(モーター)走行がされていないことが明らかになりました。(タイトル写真はボルボのPHEVラインアップ)
Official Staff
【海外トピックス】テスラの販売が目に見えて減速。果たしてこれは一時的なことなのか?
4月2日に発表された2024年の第1四半期(Q1)のテスラの販売台数はアナリストの予想を大幅に下回る38万6000台にとどまりました。前年同期比8.5%の減少で、四半期の販売台数の減少は2020年Q2のコロナパンデミック到来時以来となります。43万台程度を予想していた株式市場では、1日でテスラ株が165ドルまで5%以上下落しました。テスラは自動運転(FSD)ソフトを期間限定で無償提供したり、ネット広告で購買者の歓心を引こうと懸命ですが、果たして再び成長軌道に乗ることができるでしょうか。(タイトル写真は「テスラ モデルS」)
Official Staff
【海外トピックス】バイデン政権がCO2排出規制を緩和しEVシフトをスローダウン。欧州にも波及か?
3月20日、米国環境保護局(EPA)は昨年4月に公表した2032年までの自動車のGHG(※1)排出基準(案)を緩和して最終決定しました。提案に対して寄せられたパブリックコメントや調査機関の市場分析、自動車メーカーや販売店協会、全米自動車労働組合(UAW)のヒアリングを参考に、急激すぎると批判されたEVシフトを修正しつつ、2026年比で約50%のCO2排出量削減を図る大胆な政策であることは変わりません。また、EPA発表の翌日に行われた独BMWの年次記者会見では、ツィプセCEOが2025年から2021年比で−25%厳しくなるEUのCO2排出基準値(乗用車で93g/km)は見直しが必要という見...
Official Staff
【海外トピックス】変革へ苦闘を続ける欧州の巨人、フォルクスワーゲンの最新動向
フォルスクスワーゲングループ(Volkswagen AG)が2024年3月13日に発表した2023年の決算では、販売台数(936万台)と売上高(3,223億ユーロ)は前年比2桁の増加でしたが、営業利益(226億ユーロ)は前年と同等で利益率(7.0%)は1%減少しました。2024年には合計30車種を導入予定で売上高は+5%を見込んでいますが、利益率は横ばいの予想です。トヨタの営業利益が2024年3月期に+80%増加し、ヒュンダイ・キアやステランティスがいずれも2桁の増益であるのに比べると見劣りのする内容で、これを受けて株価は5%以上下落しました。売上高の13%を超える高いレベルの投資(研究...