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フォルクスワーゲンとBMWの決算から見るドイツ自動車メーカーの逼迫度
フォルクスワーゲン(VW)グループが2025年3月11日に発表した2024年の決算は、売上高(3250億ユーロ=52兆円 ※)は対前年比で微増(+1%)でしたが、営業利益(191億ユーロ=3兆円)は高水準の研究開発や設備投資、中国市場での販売の落ち込み(−9.5%)などの影響で−15%の減益となりました。また、同月14日に発表されたBMWの決算も、EV販売は伸びたものの、中国市場の不振などで売上高と営業利益ともに減少しています。EVやSDVへの開発投資や国内メーカーとの競争が激化する中国市場の対応を迫られている両社の現状を決算から探ってみます。※:1ユーロ=160円で計算(タイトル写真:...
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フォルクスワーゲン ID.1、2027年発売のエントリーEVが秘めた小さいけれども大きな破壊力とは
2025年3月5日(現地時間)、フォルクスワーゲンはAセグメントEVのコンセプトモデル「ID.EVERY 1」をワールドプレミアした。その量産モデルは恐らく「ID.1」と名付けられ、約2万ユーロという低価格で2027年から欧州で発売される。しかし、この完全電動のシティコミューターの価値は、小さくて廉価なEVというだけではない。公式発表ではごく簡単にしか触れられなかった、とある事実を深堀りしてみた。(タイトル画像は3月5日に世界初公開されたコンセプトカー「ID.EVERY 1」)
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2024年の欧州(EU)のEV販売台数はマイナス5.9%と失速。今年厳格化するCO2規制の緩和はあるのか?
欧州自動車工業会(ACEA)は、2025年1月21日、2024年(1〜12月)の乗用車販売台数を発表しました。スイス、ノルウェーなどのEFTAとイギリス(UK)を含めた総販売台数は、前年比+0.9%の1296万台。EVはマイナスとなる一方、ハイブリッド車は+19.6%と躍進しました。2025年からEUのCO2排出基準が2021〜2024年比で約15%厳しくなるため、多数のメーカーが未達成となり1gにつき1台あたり95ドルという多額の罰金の支払いを余儀なくされる可能性があります。自動車メーカー団体は規制の緩和を要請しており、EUも検討に入るようですが、果たしてどんな対策が打ち出されるでしょ...
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VWの労働協約が合意。大規模な工場閉鎖は免れるも、ゴルフはメキシコ生産に。賃金では労組が大きく譲歩
日本はホンダと日産の経営統合の話題で沸騰中ですが、2024年9月から4カ月にわたって交渉を続けてきたフォルクスワーゲン(VW)と同社労使協議会及びドイツ金属労働組合(IGメタル)の労働協約交渉が、5日間70時間にわたるマラソン交渉の末、先週金曜日(2024年12月20日)に合意に至りました。経営側、労組側ともに譲る気配を見せず2回の警告ストライキもあり、「大規模ストライキ突入」も不可避かと思われましたが、ドイツ自動車産業の直面する厳しい環境下で組合側が予想以上に譲歩した形で決着しました。組合側は今回の闘争が2025年まで長引くことの悪影響を考慮、経営側も1日のストライキで1億ユーロ(16...
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中国ブランドシェア6割を突破の一方で、同質化が進む中国市場の最新事情
2024年11月15日から、中国の広州モーターショーが開幕しました。海外からの注目度こそ隔年で行われる北京や上海のモーターショーに劣りますが、22万平方キロメートルの展示面積に1100台が並ぶ規模を誇ります。スマートフォンで有名なシャオミ(小米)や、ファーウェイ(華為)がセレスグループと開発するAITOなどの「新々勢力」ブランドが人気を博し、10月の乗用車販売では中国ブランドのシェアはついに65%に達しました。一方で、同じような半導体やソフトウェアを使い、デザインも似通ったものが増えて「スマホのように、外観と機能の違いはますます小さくなっている」という見方も出ています。そのあたりの動向を...
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【海外トピックス】メルセデス・ベンツの利益半減、VWはドイツ3工場を閉鎖の衝撃度
先週末、メルセデス・ベンツが発表した今年第3四半期の決算では、純利益が前年同期比で54%減少し、2024年通年の営業利益率予想も8.5%(昨年は12.6%)へ下方修正しました。また、ポルシェも1〜9月の売上高が−7%、営業利益率は17%→14%に減少しています。背景には、中国市場での高級モデルの販売不振と、世界的なEV販売の低迷があります。またフォルクスワーゲンは、ドイツ工場3カ所を閉鎖し、従業員の賃金を一律10%カットして2年間凍結する方針であることが明らかになりました。欧州ではコロナ前から需要が200万台減少しており、VWブランドは50万台の過剰生産能力を抱え、労務費やエネルギーコス...
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【海外トピックス】フォルクスワーゲン、ドイツ工場閉鎖を検討のインパクト
2024年9月2日、フォルクスワーゲン(以下VW)は、厳しい経営環境の下でのコスト削減の進捗が不十分なため、競争力が低下しているドイツの生産工場の閉鎖を検討し、1994年以来維持している6つの主力工場での2029年までの雇用保証も破棄する旨を発表しました。もしそうなれば、欧州最大の自動車メーカーであるVWの87年の歴史において初めてのドイツ国内工場閉鎖となり、このニュースは瞬く間に全欧州を駆け巡りました。4日には本社ヴォルフスブルグで従業員に向けて説明集会が行われましたが、これには2万5000人ものワーカーが詰めかけて巨大なデモの様相さえ呈し、VWのグループワークスカウンシル(労使協議会...
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【海外トピックス】フォルクスワーゲンが米新興EVメーカーのリヴィアンに巨額投資をする理由
2024年6月25日、フォルクスワーゲンはアメリカの新興EVメーカーであるリヴィアン(Rivian)に2026年までに総額50億ドル(8,000億円)を投資し、将来のSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)のE/Eアーキテクチャやソフトウェアを開発するJ/V(ジョイントベンチャー)を設立すると発表しました。昨年7月に、中国新興EV御三家の一つであるシャオペン(Xpeng=小鵬汽車)に7億ドルを出資をして4.99%の株式を取得するとともに、同社のプラットフォームを使用して2026年に2車種の中型車を発売すると決めたVWですが、今回のリヴィアンへの投資はその7倍以上の規模になります。...