フォルクスワーゲン(VW)グループが2025年3月11日に発表した2024年の決算は、売上高(3250億ユーロ=52兆円 ※)は対前年比で微増(+1%)でしたが、営業利益(191億ユーロ=3兆円)は高水準の研究開発や設備投資、中国市場での販売の落ち込み(−9.5%)などの影響で−15%の減益となりました。また、同月14日に発表されたBMWの決算も、EV販売は伸びたものの、中国市場の不振などで売上高と営業利益ともに減少しています。EVやSDVへの開発投資や国内メーカーとの競争が激化する中国市場の対応を迫られている両社の現状を決算から探ってみます。※:1ユーロ=160円で計算(タイトル写真:2024年に世界で54万台を販売したVWのベストセラー、ティグアン)

ノイエ・クラッセ第1弾はiX3。2025年11月に発売

コンセプトモデルとして公開されているノイエ・クラッセの市販車は、最初に登場するSUVモデルがiX3を名乗り、正式発表は2025年9月のミュンヘンモビリティショーになることが明らかになりました。発売は11月で、2026年初めにはセダンタイプが登場します。

ノイエ・クラッセは4ゾーンのE/Eアーキテクチャー、パノラマスクリーンやAIアシスタントを持つデジタルコクピット、バッテリー密度や航続距離を30%向上したeドライブシステムなど、同社始まって以来最大の投資となるアーキテクチャーを有します。

画像: ノイエ・クラッセ第1弾となるiX3の試作車とツィプセCEO。ここで開発された技術システムは、2027年までに40車種に展開される。

ノイエ・クラッセ第1弾となるiX3の試作車とツィプセCEO。ここで開発された技術システムは、2027年までに40車種に展開される。

3シリーズクラスから導入されるノイエ・クラッセによって、同社のEV販売がさらに加速するのは間違いありませんが、それでも2030年にEVの販売比率5割は依然として高いハードルだとBMWは考えており、2035年にICE車の販売を禁止することには従来より反対で、バイオ燃料や水素など「テクノロジーオープン」を主張しています。トヨタと共同開発しているFCEV(水素燃料電池車)を2028年に発売予定で、FCEVの乗用車展開をやめたメルセデス・ベンツやVWと一線を画します。

いずれにしても、メルセデス・ベンツが主力の中・大型車に投入するMB.EAアーキテクチャー採用のCクラスや、VWがSSPで導入するゴルフEVに先駆けて導入する新世代EVのノイエ・クラッセが、EVシフトの起爆剤になるかが注目されるところです。

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