ポルシェにも黄信号?
ポルシェの2024年の販売は、中国市場で−28%と低迷し、2024年に一部改良したEVのタイカンも世界販売台数では−49%と落ち込み、EV販売比率は12.7%と伸び悩みました。PHEVを含めたxEVでは27.0%ですが、「未来はeモビリティ」という方針を変えないオリバー・ブルーメCEOも、2030年にEVの販売比率を8割にする目標について「もはや現実的でない」と認めました。
ROSは14.1%(前年18.0%)に低下し、2025年も10〜12%の見通しで、中期目標の20%の達成は遠のきました。決算発表後の株価(3月14日)も53ドルと2022年の上場当初から30%以上値下がりし、ポルシェAGの株式を12.5%所有するポルシェ・ピエヒ一族のポルシェ・オートモービル・ホールディングSEは、31.9%を所有するVW株式分と合わせて200億ユーロの損失を計上すると報じられています(ただし、投資資産の評価額で現金収支には影響せず。)
ポルシェは約4000人の従業員の削減を計画し、経営陣もCFO(最高財務責任者)と販売・マーケティング担当取締役を2月に交代させましたが、2015年から指揮を取るブルーメCEOの製品戦略が成功していないという声も現地のメディアの中にはあるようです。
EVシフトの軌道修正としては、ICEモデルのテコ入れに8億ユーロを追加投資する計画で、次期モデルでEV化するカイエンは、「2030年以降も当分は(Well into 2030s)ICEモデルを継続する」ことになります。また、2024年に発売された中型SUVのマカンの新型はEVのみに特化しましたが、アウディと共同で開発したPPCをベースに、ICEモデルを急拵えで開発中と報道されており、ポルシェも(マカンとは言わず)別にICE&ハイブリッドのSUVを(グループの)シナジーを利用して開発すると認めています。

上場時は「第2のフェラーリか」と投資家を沸かせたポルシェだが、中国市場での苦戦やEVシフトの誤算で戦略の修正を余儀なくされた。2015年からポルシェの舵取りをするブルーメCEOのVWとのダブルハットはいつまで続くか。