最新の「レベル2+」はZeekerやポルシェに、LiDAR付きはID .Buzzで実証中
今回、モービルアイのブースには、最新の量産車用のシステムであるSuperVisionを搭載した車両としてGeely(吉林)グループの上級ブランドであるZeeker001が展示されていました。このシステムは、EyeQ5×2セットのチップに11台のカメラとフロントレーダーを装着し、「レベル2+」(ハンズオフや自動レーンチェンジ、自動駐車など)を可能にするもので、現在最も採用が進みつつあるシステムです。既に中国国内で11万台が走行しているZeeker車両にOTAアップデートで提供可能とのことでした。
ポルシェも近く登場するモデルからSuperVisionの搭載を開始し、こちらはEyeQ6のチップセットに11台のカメラと5機のレーダーを搭載し、ハンズフリーや2024年から順次義務付けられるドライバー・モニタリングシステム(DMS)も有するとのことで、今後VWグループの他ブランドにも展開される模様です。
さらに、モービルアイが「Mobileye Drive」と呼ぶ「レベル4」のシステムが、もう一台の展示車のID.Buzzに搭載されており、今年の夏からドイツのミュンヘンと米テキサス州オースティンで、VWがロボタクシーとして試験運用を開始しています。こちらは、最強のEyeQ6 Highチップ×4セットにSuperVisionを上回る13台のカメラと6機のレーダー、さらに9個のLi DARが装着されます。モービルアイは、日本やASEANで移動サービスを手掛けるWillerや丸紅、ドイツのレンタカーのSixtなど世界のモビリティサービス事業者とも幅広く手を結んでおり、ADASシステムサプライヤーから、自動運転サービスを手掛けるモビリティプロバイダーとして新たな道を歩もうとしています。
モービルアイの強みはクラウドソースのデジタルマップ
モービルアイは、ADASや自動運転システムの主要技術を次の3つに要約しています。
1、ハードウェア(カメラのみのシステムに加え、高機能版ではレーダーとライダーによるシステムの2系統を備える)
2、クラウドから供給されるマップ(REM=Road Experience Management)と、ビークルセンサーによる環境把握のリアルタイムフュージョン
3、運転ポリシーの判断と実行
1については、まずカメラのみによるセンシング技術で非常に信頼性の高いAV(※2)の運転が可能であることを、世界の主要都市での無編集の運行映像で見せています。エルサレムやニューヨークなどの街中の複雑な合流や障害物の判断など、一昔前ならAVが躊躇して運行が一時停止してしまうような状況でも、的確に判断していることがこの映像からわかります。そして、このカメラシステムとは別系統で、レーダーとライダーを使用した第2のシステムがあり、もし一方が機能不全になった場合にバックアップできる冗長性を備えています。最終的には、この2つのシステムをフュージュンしてレベル4以上の自動運転を可能にします。※2:AV=Autonomous Vehicle
2は、市場にある1億2500万台の車両からのデータで生成されたマップの存在です。Googleや欧州発の高精度3Dマップの製作会社HEREなどが道路環境を測定するLiDAR搭載の専用車を走らせているのに比べ、カメラ情報から必要なデータをタグ付けしてクラウドに送信し、道路のモデリングや車線や標識などの意味付けを行って地図を作成、リアルタイムに近い更新がされた地図データを車両に送っています(テスラのFSDも高精度マップに頼らない点では同じです)。