※Cox Automotive調べ
息を吹き返した欧州のEV販売
5月27日にACEA(欧州自動車工業会)が発表した4月の欧州(EU)の自動車販売台数は、EVが前年同月比+34%の14万5341台と躍進し(1〜4月は55万8262台、+26%)、EV失速の懸念は払拭されつつあります。欧州委員会は、2025年から厳しくなるCO2排出基準の達成を2027年までの3年間で算出するという猶予策を発表しており、目下のところEVを大幅値引きして販売する動きは抑制されているはずです。そうした中で、2024年にEV販売が失速したドイツ市場では、1〜4月で15万8503台(+42%、シェア18.8%)と復活してきました。
ハンデルスブラット紙がKBA(ドイツ連邦自動車庁)のデータからまとめたところによれば、ドイツの4月EV販売ランキングは、フォクスクワーゲンのID.7、ID.3、ID.4/ID.5、シュコダ エルロック、クプラ ボーン、シュコダ エンヤックとトップから6位までフォルクスワーゲングループのEVが続き、昨年発売されたアウディのQ6 e-tronやA6 e-tronもトップ10に入っています。
一方で、イーロン・マスク氏による政治的発言の影響で急降下しているテスラは、一部改良を受けたモデルYがわずか639台とトップ20にも入っていません。アッパーミドルサイズEVセダンのID.7やA6 e-tronなどの販売が多いのは、ドイツのカンパニーカーが積極的にEVを採用していることの証でしょう。ドイツ自動車メーカーがEV航続距離を100km以上に伸ばしてきたPHEVも好調で、EVとPHEVを合わせたシェアは28.8%に達しています。

発売時はスロースタートだったフォルクスワーゲンのアッパーミドルセダンの「ID.7」は今年1〜4月に欧州で2万5000台を販売した。
欧州では中国勢も引き続き躍進しています。中国勢トップは上海汽車傘下のMGで、4月の販売台数が2万1735台(前年同月比+25%)※、1〜4月では9万9627台だったほか、4月にEV販売台数でテスラを抜いたBYDも1万2558台(前年比+356%)、1〜4月では4万1409台と躍進しています。また、スペインの旧日産工場を確保したチェリー(Chery)のオモダ(Omoda)やジェイコ(Jaecoo)などの輸出用ブランドが販売を伸ばしています。昨年夏に発動した中国製EVに対する最大35.3%の追加関税は、各社が関税分を価格に転嫁していないことと、追加関税の対象ではないBYD シールUをはじめとするPHEVの販売を伸ばしていることで、販売抑制効果はほとんど見られません。
※この項の数字はAutomotive News Europe/Dataforceによる



