技術的にはすでに各社横並びに。カギは「量産体制の確立」
上述のように、日本は長らく全固体電池の技術開発では世界の最先端を走ってきた。トヨタとタッグを組む出光興産は、2025年2月27日、量産化に不可欠な固体電解質の大型製造装置の建設を発表している。完工は2027年とされており、これはトヨタが目標としている「2027年から2028年に市販車への搭載開始」と一致している。

2025年2月27日、出光興産は全固体電池の量産に欠かせない「硫化リチウム(=中間原料)」を量産する大型製造装置の建設を発表。完工は2027年6月の予定。
トヨタは公道走行テストの開始時期はまだ公表していないものの、国内での量産化を見すえたサプライチェーン構築も着実に進めていることがわかる。すでに、全固体電池そのものの開発は佳境を迎えており、次のステージとなる量産体制の開発に駒をひとつ進めているのかもしれない。
結局、現在はどういう状況なのか。各社のアプローチが異なるので一概に言えないが、確かなのは1年前とは状況が大きく変わってきていることだろう。某自動車メーカー技術担当役員は、「(技術的には)すでに各社横並びの状態だ。あとは量産体制をいち早く確立できたところが競争の勝者になるだろう」と語っていた。

出光興産が生産する硫化リチウム。全固体電池の量産に欠かせない「中間原料」だ。硫化系中間原料の特許出願数は出光興産が突出している。
その点において、とくにトヨタ/出光の連合が依然として先行している感が強い。とはいえ、ファクトリアル社は、「既存の電池工場の生産設備が活用できる」とスピーディに量産体制への移行が可能であるとアピールしている。つまり、メルセデス・ベンツやステランティスが量産にGOサインをだせば、いつでも量産化できるという自信だ。
いずれにせよ、「夢の次世代電池」はもはや夢でなく、予想よりも早く実現に近づいていることは確か。EVだけでなく、HEVやさまざまな電動モビリティへの搭載、蓄電池の大容量化などつながる技術だけに、その動向からはますます目が離せそうもない。



