電気代の高さがEVのランニングコストを押し上げ
ドイツでEVが苦戦している背景には、電気代の高さもありそうです。ボルボEX30で1200km走行したオートモティブニュース・ヨーロッパの記者のレポートによれば、ドイツやオーストリアの高速道路の急速充電器の電気代は80〜90ユーロセント/kWhと高額です。1kWhあたり6km走行するとして、燃料代は燃費18km/Lのディーゼル車よりかなり割高になります(2025年1月のドイツのディーゼル燃料は約1.7ユーロ/Lで、EVだと2.4ユーロ/Lの計算になる。)2年前にテスラ モデル3を買ったドイツの友人は、電気代が高いので、今はEVを買うメリットがないと言っていました。
2025年のEV販売は復調予想だがCO2規制のクリアは困難
2025年の欧州のBEV市場を概観すると、フォルクスワーゲンブランドは新型EV登場の予定がありませんが、メルセデス・ベンツは次世代EVプラットフォームのCLAが登場します。アウディも発売間もないQ6-etronやA6 e-tronの効果でEV販売は伸びると予想されます。フランス勢は、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー受賞のルノー5、シトロエンeC-3、フィアットグランデバンダEVなど3万ユーロ前後のEVの品揃えが整います。また、リープモーターのT03やヒュンデインスターなどの2万ドル以下の安価なEVが南欧など小型車中心の市場で伸びるでしょう。
しかしながら、現状では自動車メーカーは2025年規制により合計150億ユーロ(2兆4000億円)もの罰金を支払う可能性があると、ACEAは2024年秋よりCO2規制の見直しを主張。最近ではフォルクスワーゲングループが15億ユーロ(2400億円)の罰金や関連費用を想定していると報道されました。未達が予想される自動車メーカーは、トヨタ、フォード、ステランティスなどがテスラと「プール(pool)」(※)することで、メルセデス・ベンツはボルボとポールスターとプールをすることで、罰金を回避するようです。
※EV販売の多い(CO2排出量の少ない)メーカーとグループを作ることで罰金を回避するEUのメカニズム。EV販売の多いメーカーからクレジットを購入するが、罰金よりは安く済むとされる。