イギリスでプラグイン車(EV+PHEV)のシェアは約3割に
一方、2024年から新車販売の22%をゼロエミッション車とするZEV規制が始まったイギリスでは、EV販売が38万1970台(前年比+21.4%、シェア19.6%)の大幅アップとなり、ドイツの台数(38万0609台)を上回りました。外部から充電できるPHEVと合わせると28.2%になりました。ただし、ZEV販売比率を達成するために自動車メーカーは大幅値引きを余儀なくされており、英国自動車工業会(SMMT)は、2025年にZEV比率28%、2030年に80%を義務付けているZEV規制は市場の需要に即していないと批判しています。
ジョンソン首相(2019〜2022年)の保守党政権時代に「2030年にZEV100%(エンジン車禁止)」を打ち出していましたが、これは現在80%に緩和され、2030年以降もPHEVとともにトヨタ プリウスのようなCO2排出量の少ないハイブリッド車の販売を認める案が2024年末にスターマー首相の労働党政府から発表され、自動車業界はこれを一応歓迎しています。いずれにしても、2030年にZEV 80%は世界で最も急進的な目標で、これを達成できるかはかなり疑問です。
中国車への追加関税の影響は現状認められず
苦戦しているEV市場ですが、テスラが台数を落とす中で健闘しているのが、斬新なコンパクトSUVのEX30を7万7800台販売したボルボや、中型セダンの「シール」などの好調で実質販売2年目にして5万台まで伸ばした中国のBYD、2024年6月から35.3%の追加関税を課されているにも関わらず24万3000台(+4.9%)を販売した上海汽車傘下のMGなどです。
ドイツメーカー3社の中で、最もEV販売が好調なのはBMWで、2024年全世界で36万8523台のEVを販売しましたが、これはアウディ(16万4000台)とメルセデス・ベンツ乗用車(18万5100台)を合計したより多い台数です。EVだけでなく、PHEVとMHEVを広く揃えて、消費者に選択肢を与えた「フレキシブルドライブ」戦略が、一挙にEVにシフトしようとしたアウディやメルセデスベンツより消費者に安心感を与えたといえるでしょう。今年は、中核車種である3シリーズクラスの次世代EVである「ノイエクラッセ」が登場するほか、中国で生産するMINI エースマン(EV)などがフルに寄与するので、EV販売におけるBMWのリードはしばらく続きそうです。