2024年11月15日から、中国の広州モーターショーが開幕しました。海外からの注目度こそ隔年で行われる北京や上海のモーターショーに劣りますが、22万平方キロメートルの展示面積に1100台が並ぶ規模を誇ります。スマートフォンで有名なシャオミ(小米)や、ファーウェイ(華為)がセレスグループと開発するAITOなどの「新々勢力」ブランドが人気を博し、10月の乗用車販売では中国ブランドのシェアはついに65%に達しました。一方で、同じような半導体やソフトウェアを使い、デザインも似通ったものが増えて「スマホのように、外観と機能の違いはますます小さくなっている」という見方も出ています。そのあたりの動向を上海の自動車メディア「第一汽車頻道」の記事から紹介したいと思います。(写真:BYDジャパン)

合弁会社は「後進」の代表ではない?

2024年の7〜10月は連続してNEVの販売比率が50%を超え、通年の販売台数は1200万台に達すると見込まれます。成長を続けるNEV市場ではBYDとテスラが2強を成し、吉利汽車などの独立系中国メーカーの新ブランドや、ファーウェイが開発もしくは「HarmonyOS(鴻蒙OS)」など中核技術を提供する新興ブランドの躍進が続き、VWのID.シリーズやメルセデス・ベンツのEQシリーズなどは低調です。中国のプレミアム市場でかつて圧倒的な存在だったアウディの2024年1〜9月のEV販売台数1万6300台で、総販売台数のわずか3.7%です。

こうした流れをなんとか食い止めようと、世界販売における中国の比率が30%を超えるドイツ3社や日系メーカーでも、デザインを中国テイストにしたり、合弁パートナーと共同開発する動きを加速しており、「合弁会社は『後進』ではない」ことを示そうとしています。

VWは北京モーターショーで「ID.UX」という新ブランドを立ち上げ、伝統的デザインから一線を画したSUV「ID. CODE」を発表しましたが、今回の広州ショーでは、アウディが上海汽車(SAIC)と協力して開発したフォーリングスのロゴの付かないEVクロスオーバー「アウディ eコンセプト」と新ブランド「AUDI」を披露しました。「SAICとアリババが共同して立ち上げたIMモーターズの車台をベースに、中国向けEVを開発」と2023年夏に報道されましたが、今回のモデルがこの第1弾にあたります。2025年半ばから計3モデルの導入が予定されており、わずか2年での開発はまさにチャイナスピードです。

画像: シンボルのフォーリングスが装着されない「AUDI」ブランドの発表は関係者を驚かせた。アウディの世界販売における中国のシェアは38.5%(2023年)で絶対に譲れない市場だ。

シンボルのフォーリングスが装着されない「AUDI」ブランドの発表は関係者を驚かせた。アウディの世界販売における中国のシェアは38.5%(2023年)で絶対に譲れない市場だ。

また日本メーカーも、トヨタがBYDと共同開発の「bZ3X」や「bZ7コンセプト」などを披露し、日産は東風汽車と開発した「N7」などの新たなNEVを発表しており、現地メーカーの車台や中核技術をベースにしたモデルの投入が加速しています。

これらの合弁系海外ブランドのEVは、「レベル2++」のスマートドライビングやスマートコクピットなど、製品の「インテリジェント化」に集中して開発されており、シャオミやAITOなどの新々勢力に匹敵する性能をアピールしています。またVWもシャオペンと共同開発モデルを2026年に登場させるとしており、第一汽車頻道の記事は、「合弁系海外メーカーの反攻の第一段階が始まった」という中国メーカー幹部の言葉を紹介しています。

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