日本市場への「コミットメント」を示したBYD
JMS出展が2回目となるBYDは、今年12月に発売するPHEV(プラグインハイブリッド)の「シーライオン6」と、来年後半に発売する軽乗用EV「ラッコ」を発表し話題を集めています。
同社は、今年9月にはEVモデルを大幅値下げする期間キャンペーンを実施し、月間799台の新記録を達成して日本での累計販売台数も7000台を超えました。10月には、新型日産 リーフやトヨタ bZ4Xの改良モデルに対抗して、中型セダン「シール」を33万円値下げして495万円〜とするなど、その性能に対するバリューの高さで日本のEV市場に風穴を開けることが期待されています。中国では、EVよりもPHEVの方が安い価格で販売されており、EV走行距離100km、1.5Lエンジンと合わせて1000kmを超える航続距離を持つ「シーライオン6」も戦略的な価格を設定してくると思われます。
さらに、前回のJMSに来日したBYDの創業者である王伝福会長が日本の街を走る黄色ナンバープレートの車に注目したのが発端という軽乗用EVを2年余りで開発したことに、日本市場に対する並々ならぬ意欲が現れています。
2022年に発売された日産 サクラと三菱 eKクロスEVに加え、先頃ホンダのN-ONE e:が発売され、スズキも2026年末までに軽乗用EVを導入しますが、BYDジャパンは、「全高1800mmでスライドドアのスーパーハイト軽乗用EVはまだ存在しないので、そこでも差別化できる」と自信を覗かせます。速攻開発とはいえ、他の車種と同様に「セル・ツー・ボディ」構造による高いボディ剛性や安全性、ADASなど日本で人気の装備もしっかり搭載するようです。
日産 サクラなどの価格(260万円前後)に対してどこまで攻めてくるかが一番の注目ですが、200万円強で発売されれば、燃料代やメンテナンス費用への意識が高い軽自動車ユーザーから熱い視線を浴びそうです。

わずか2年で開発された「ラッコ」は来年夏に発売に向け、日本でADASなどの走行テストを実施中という。
10年の実績がある商用車(EVバス)は小型EVトラックも発売
BYDは、乗用車だけでなく商用車でも、車両総重量3.5トン以下のトラック「T35」を日本向けに専用開発して今回発表しました。10年前からEVバスのK8やJ6などを日本向けに販売し、今年の大阪・関西万博でも33台を提供、累計販売台数も500台に上り日本のEVバスのシェアは7割を占めています。
このように乗用車、商用車ともに日本市場の経験豊かな日本人トップを据えて、店舗展開やアフターサービスも充実させているBYDジャパンの劉学亮社長は、「All for Japan. BYD」「日本にフルコミットしています」と力強く宣言しましたが、その言葉が説得力を持って感じられる今回の展示の充実ぶりです。

EVバスに加えトラックでも日本専用に開発したT35を来春導入する(価格は800万円程度)。

BYDは輸入車販売経験豊富なスタッフを揃え、製品ラインアップの充実、100店規模の販売ネットワークとアフターサービス体制の充実に邁進中。



