日本市場に参入してちょうど2年半が経過したBYDの販売がここにきて躍進しています。2025年6月は512台の月間新記録を達成し、累計の販売台数も5300台を超えました。4月に発売したクロスオーバーSUVの「シーライオン7」に加え、4月の価格改定で「ATTO3」と「ドルフィン」を30万円以上値下げしたのが効いているようです。BYDジャパンが7月7日に実施した「バッテリーとSDVに関する技術説明会」から、LFPバッテリーの話を中心にお伝えします。

タイトル写真:今年1月の東京オートサロンのBYDブース。「シーライオン7(写真)」や299万円のベースモデルを追加した小型車「ドルフィン」の販売が好調。

LFPが世界を制す!?

BYDのEVの特徴として第一に挙げられるのは、長さが1m近いブレードバッテリーです。パナソニックや韓国のLG、車載バッテリー最大手の中国のCATL(寧徳時代新能源科技)などがニッケル、マンガン、コバルトなどを正極に使用した三元系(NMC/NCA)のリチウムイオンバッテリーに注力したのに対し、BYDは安価で発火の危険性の少ないリン酸鉄リチウムを正極に使用するLFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池に着目し、2020年にブレードバッテリーを発表しました。電池セルをモジュール化することなく、数10本のブレードを電池パックに敷き詰めることでスペース効率を高め、CTB(セル・ツー・ボディ)の設計を可能にして話題を呼びました。

画像: BYDはブレードバッテリーを敷き詰めてCTBを実現した(写真は2024年北京モーターショーの同社ブース展示)。

BYDはブレードバッテリーを敷き詰めてCTBを実現した(写真は2024年北京モーターショーの同社ブース展示)。

LFPの最大の利点は、三元系電池より3〜4割安いとされるコストです。欧米市場ではEVが主に中・大型のプレミアムカーから導入されたことから、車載バッテリーはこれまではエネルギー密度の高い三元系がほとんどでしたが、新エネルギー車(NEV)が乗用車販売の50%を超えた中国市場では、LFPが全体の83%を占めています。

画像: NEVの販売比率が5割を超えた中国市場ではLFPが83%に上る(BYDジャパン説明資料より)。

NEVの販売比率が5割を超えた中国市場ではLFPが83%に上る(BYDジャパン説明資料より)。

欧米自動車メーカーも、テスラがモデル3とモデルYの標準モデルにLFPを採用しているほか、フォードもマスタング マッハEやF150ライトニングの廉価モデルにCATLのLFPを、VWやトヨタも中国市場ではLFPを採用済みです。ステランティスは、シトロエン e-C3やフィアット グランデパンダEVに44kWhのLFPを搭載しており、今後も採用車種を増やす予定です。インドで生産されるスズキ初のEVのeビターラもBYDのLFPを採用するなど、2027年には世界のEV車載電池の65%がLFPになると予想されています。

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