2025年2月5日(現地時間)、フォルクスワーゲンは2030年に向けた再生計画を明らかにするとともに、2027年の発売を予定する2万ユーロ(約313万円)の新型エントリーEVのコンセプトモデルを3月に公開すると発表した。この新型EVは、「真の意味でのフォルクスワーゲン(国民車)になる」とコメントされているとおり、同社のEV戦略を下支えする重要な1台だ。2030年までに技術的に世界をリードする量販メーカーの地位確立をめざす同社の商品戦略を俯瞰してみた。

2029年にブランド初の本格SDVとして新型ゴルフが登場

2026年から2027年は、主にMEBエントリープラットフォームを使ったコンパクトセグメントのEV投入が目立つが、もちろん内燃機関搭載車も含め既存ラインナップのテコ入れも抜かりない。フルモデルチェンジを含め、合計9モデルが新たに投入される。だが、計画のハイライトは2029年に投入される新型ゴルフ(いわゆるゴルフ9/Mk.9)になるはずだ。

画像: 2029年にゴルフMk.9も登場する。EVと内燃機関搭載車に分化され、EVはSSPプラットフォームと新たな車載OS/E&Eアーキテクチャーを組み合わせたSDVになる。(画像はイメージ:2015年に公開された「GTEスポーツコンセプト」)

2029年にゴルフMk.9も登場する。EVと内燃機関搭載車に分化され、EVはSSPプラットフォームと新たな車載OS/E&Eアーキテクチャーを組み合わせたSDVになる。(画像はイメージ:2015年に公開された「GTEスポーツコンセプト」)

フォルクスワーゲンは、米国EVスタートアップのリヴィアン・オートモーティブに大型投資(58億ドル!)を行っており、本格SDV時代に向けた新たな車載OSとE&Eアーキテクチャーを共同開発している。この新たなSDV技術は、まずは2027年内、グループ内のポルシェやアウディの新型車、そしてフォルクスワーゲンが北米で展開するスカウト・ブランドのピックアップ/SUVに採用される見込みだ。

この車載OSとE&Eアーキテクチャーに、新たな車体構造である「SSPプラットフォーム(Scalable Systems Platform)」を組み合わせるグループ初のEVが、次世代のゴルフである。SSPはMEBとは異なる画期的な製造プロセスが採用されることのみ発表されているが、SDV時代を見すえたスケートボード構造やギガキャストによる一体成型技術などが盛り込まれると予想される。

将来的には、ポルシェやアウディも含め、グループの使用するプラットフォームは(一部を除き)SSPに一本化する計画だ。

新型ゴルフが登場する2029年から2030年にかけて、フォルクスワーゲンが目指す将来の「あるべき姿」、つまり最高峰の技術力をもつ「量販メーカー」は一応の完成を見るとともに、さらにその先にある未来に向けて新たなスタートを切ることになる。

もちろん、強大なマーケットである中国市場への投資も怠っていない。欧州と同じく、2030年までにサブブランド「ID.UX」の新型EV 5車種を含む16モデルの投入も表明済みだ。とはいえ、自動車業界は刻々とその姿と役割を変えつつあるのも事実。新たな時代に向けて活動を開始したフォルクスワーゲンの動向に、世界が注目している。

画像: 2024年7月から中国専売のサブブランドとして展開が始まった「ID.UX」の第一弾が「UNIX(ユニックス)」。

2024年7月から中国専売のサブブランドとして展開が始まった「ID.UX」の第一弾が「UNIX(ユニックス)」。

This article is a sponsored article by
''.