日独の大手が奇しくも同時期に本格SDV市場に参入
SDVとは「ソフトウェア・ディファインド・ビークル」の頭文字をとったもので、「ソフトウェアで定義されるクルマ」だ。「スマホ化したクルマ」である。移動の道具だったクルマが、さまざまな価値、体験をプラスした新しい乗り物へと変化していく。かつてクルマのスマホ化といえばネガティブな文脈で使われることが多かったが、いまや生き残りをかけて各社その開発に邁進しているのは、先日発表された「日産/ホンダ/三菱の協業」をみても明らかだ。
SDVと言えば、よく言われるように米テスラが先行し、中国勢が猛追している。だが、2025年以降、状況は一変しそうだ。いわゆるレガシーメーカーが、いよいよ反攻に出る。なかでもこのところSDVを盛んにアピールしているBMWとホンダの動向には注目しておきたい。奇しくも両社は、ほぼ同時期に本格SDVの市場投入を始める。
欧州市場では単月ながらBMWがテスラを上回った
まずはBMWだ。同社は電動化を推し進める欧州勢にあって、EVラインナップを着実に増やして成果を上げている。欧州市場(EU全域)では、2024年7月単月ではあったものの1万4869台のEVを販売して初めてテスラを上回ったほどである(EU-EVs調べ)。
BMWはいち早くSDVシフトのビジョンを明らかにしている。「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」と呼ばれるコンセプトを掲げ、伝統である“駆けぬける歓び”はそのままに、インタラクティブで直感的なデジタル体験をもたらす次世代iDriveの導入を謳っている。
最先端のコンピュータとソフトウェアコンポーネンツを組み合わせ、ドライブとドライビングダイナミクスの統合、そして最先端のアシスタンスシステムがパノラミックビジョンにさまざまに映し出される。また車内の環境を音や光によってカスタマイズ可能とするなど、AIやソフトウェア(車載OS)による新たなドライビング環境の提供を前面に打ち出している。当面、ECUは4つに統合されたいわゆる「ゾーンアーキテクチャー」が採用されるが、将来的にはひとつのECUが車両全体の制御を統合しておこなう「セントラルアーキテクチャー」へと移行する予定だ。