2025年はEVにとって大きな節目の年となりそうだ。動力を内燃機関からモーターに置き換えるのがいままでの流れだとすれば、2025年以降はソフトウェア主導の新世代EV(いわゆるSDV:Software Defined Vehicle)が続々登場して “クルマ”でできること=世界観が大きく変わり始める。その最前線から、いまもっともアグレッシブな姿勢を見せる、BMWとホンダの動向を俯瞰してみた。(タイトル写真はBMWが2024年5月に公開したコンセプトモデル「スカイトップ」のデザインイメージ)

BMWのSDV第一弾は2025年下半期に投入される次期iX3

その第一弾として2025年下半期に発表されるのが次世代iX3。2024年3月にノイエ・クラッセのコンセプトカー第2弾として発表された「ノイエ・クラッセX」の量産型である。新世代バッテリー(第6世代バッテリーセルを初採用)による充電時間の大幅な短縮、さらにV2Gを見すえた双方向充放電機構を搭載するなど、SDV機能を下支えするEV機能の向上も話題になりそうだ。

画像: 2025年後半に市場投入されるミッドサイズSUV(左)と2026年に発売開始されるセダン(いずれもコンセプトカー)。2026年末までにノイエ・クラッセは少なくとも6台が市場投入される。

2025年後半に市場投入されるミッドサイズSUV(左)と2026年に発売開始されるセダン(いずれもコンセプトカー)。2026年末までにノイエ・クラッセは少なくとも6台が市場投入される。

翌26年には23年に先行して発表された「ビジョン ノイエ・クラッセ」、つまりセダンi3シリーズの展開も始まる。おそらく同車をベースにしたツーリング、クーペやカブリオレも追って登場するだろう。また、中国市場向けのロングホイールベース版iX3もラインナップされるはずだ。2026年までに少なくとも6車種の“ノイエ・クラッセ”を投入すると言われており、水面下で開発が進む4モーター(クアッドモーター)のモンスターEV「i3M」も間に合うかも知れない。

画像: ノイエ・クラッセから導入が始まる第6世代の円筒形バッテリーセル(従来は角型)。エネルギー密度を20%、充電速度を最大30%向上させる一方、希少金属の使用量を大幅に抑えて環境負荷の軽減とコストダウンも両立する。

ノイエ・クラッセから導入が始まる第6世代の円筒形バッテリーセル(従来は角型)。エネルギー密度を20%、充電速度を最大30%向上させる一方、希少金属の使用量を大幅に抑えて環境負荷の軽減とコストダウンも両立する。

インホイールモーターの実用化も視野に入る

ノイエ・クラッセのシリーズはまだまだ拡張する。去る7月17日、BMWと同社が支援するテック企業「DeepDrive」は、開発中のデュアルローター型インホイールモーターを搭載する車両で公道走行テストを開始することを発表した。早速、8月に入ってからそのテスト車両の目撃情報が相次いで現地メディアに寄せられている。驚くのはテスト車両が“大柄なクーペ”であるところ。全体的なフォルムは、去る3月に公開されたデザイン・コンセプト「スカイトップ(Skytop)」によく似ている。

画像: BMWは今年7月に日本のアイシンからノイエ・クラッセ用とみられるe-Axel調達契約を結んだが、DeepDriveからはインホイールモーターの調達も検討しているようだ。

BMWは今年7月に日本のアイシンからノイエ・クラッセ用とみられるe-Axel調達契約を結んだが、DeepDriveからはインホイールモーターの調達も検討しているようだ。

残念ながらここではテスト車両の画像は掲載できないが、スカイトップの特徴的なリアエンドのデザインが踏襲されており、ノイエ・クラッセのフラッグシップクーペの開発も計画されている可能性は高い。インホイールモーターが搭載されるかどうかは不明だが、間に合えば画期的なEVの登場となるだろう。

画像: 2024年5月24日に公開されたデザインスタディ「スカイトップ(Skytop)」。Z8を彷彿とさせる大柄な2シーターオープンスポーツクーペ。インホイールモーターのテスト車はこれにそっくりだ。

2024年5月24日に公開されたデザインスタディ「スカイトップ(Skytop)」。Z8を彷彿とさせる大柄な2シーターオープンスポーツクーペ。インホイールモーターのテスト車はこれにそっくりだ。

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