今月、ホンダが次世代EV「0シリーズ」の開発と発売を中止し、2.5兆円の巨額損失を発表したことは、EV市場の先行きを読み違えたことに対する代償の大きさを示しました。また先々週は、ドイツ3大自動車メーカーの2025年の決算が出揃いましたが、こちらでもEVシフト修正や中国市場の落ち込みで苦闘する姿が浮き彫りになっています。メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンの決算発表から今後のドイツ勢の展望を読み解いてみます。(タイトル写真は、BMWの新型i3を発表するオリバー・ツィプセCEO)

フォルクスワーゲンはポルシェの不振が響く

898万台の世界販売台数と3219億ユーロ(58兆円)の売上高で、唯一トヨタに匹敵する規模をもつフォルクスワーゲン(以下、VW)も、営業利益が88億ユーロ(−53%)となる厳しい決算でした。

最大の要因はEV関連の特別損失と、中国市場での不振にあえぐポルシェです。世界販売台数が10%減少し、営業利益は53億ユーロ(2024年)からわずか1億ユーロ(−98%)に落ち込みました。同社はすでに3列シートのフルサイズSUV(EV)の開発中止と、718シリーズ(ボクスター&ケイマン)のEVモデル導入延期、またEVのみだったマカンのICEモデル開発にも着手しています。決算会見では、フェラーリとマクラーレンを経て今年1月にCEOに就任したミヒャエル・ライタース氏が、カイエンと911の上に位置する新型モデル(ICEとPHEV)を新たに開発して高収益を目指すと表明しました。

現在VWグループは、稼ぎ頭だったポルシェとアウディの利益低下を、営業利益率8%を超えるシュコダやVWブランドが下支えするという構造になっています。EV販売については盛り返しており、2025年の欧州EV市場におけるVWグループのシェアは19.1%とテスラを上回り首位。全世界のEV販売台数も98.3万台(前年比+66%)に達しました(世界販売に占めるEV比率は11%)。

画像: ポルシェのライタースCEOはかつて13年間の同社在籍中にカイエンやマカンの開発に携わった。

ポルシェのライタースCEOはかつて13年間の同社在籍中にカイエンやマカンの開発に携わった。

中国市場での反転攻勢が本格化

2026年のVWは、第2四半期導入のクプラ ラヴァルを皮切りに、ID.ポロやシュコダ エピックなどの「アーバンスモールEVファミリー」4車種が2万5000ユーロを切る価格帯から発売されます。これらのモデルはVW製バッテリーが初めて搭載され、ICE車の80%の利益が確保できるとのことです。

また中国市場でも、アウディが上海汽車と開発した「4文字(four letter)」アウディブランドの「E5スポーツバック」に続く第2弾のSUVや、VWが提携先のシャオペンの技術で開発したID.UNYX08などの新製品を4月の北京モーターショーでお披露目します。今年1〜2月の中国乗用車市場では、新エネルギー車の購入補助金の減額でBYDが失速する中で、VWグループが販売トップに返り咲きました。これから新世代EVが出揃うVWにとって、今年は中国市場の販売減少トレンド(2025年269万台/−8%)を反転できるかが試される1年になります。

画像: シャオペンと共同開発されたVWの中国専用車ID.UNYX08(全長5m)の生産が合肥市の工場で始まった。

シャオペンと共同開発されたVWの中国専用車ID.UNYX08(全長5m)の生産が合肥市の工場で始まった。

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