フォルクスワーゲンはポルシェの不振が響く
898万台の世界販売台数と3219億ユーロ(58兆円)の売上高で、唯一トヨタに匹敵する規模をもつフォルクスワーゲン(以下、VW)も、営業利益が88億ユーロ(−53%)となる厳しい決算でした。
最大の要因はEV関連の特別損失と、中国市場での不振にあえぐポルシェです。世界販売台数が10%減少し、営業利益は53億ユーロ(2024年)からわずか1億ユーロ(−98%)に落ち込みました。同社はすでに3列シートのフルサイズSUV(EV)の開発中止と、718シリーズ(ボクスター&ケイマン)のEVモデル導入延期、またEVのみだったマカンのICEモデル開発にも着手しています。決算会見では、フェラーリとマクラーレンを経て今年1月にCEOに就任したミヒャエル・ライタース氏が、カイエンと911の上に位置する新型モデル(ICEとPHEV)を新たに開発して高収益を目指すと表明しました。
現在VWグループは、稼ぎ頭だったポルシェとアウディの利益低下を、営業利益率8%を超えるシュコダやVWブランドが下支えするという構造になっています。EV販売については盛り返しており、2025年の欧州EV市場におけるVWグループのシェアは19.1%とテスラを上回り首位。全世界のEV販売台数も98.3万台(前年比+66%)に達しました(世界販売に占めるEV比率は11%)。

ポルシェのライタースCEOはかつて13年間の同社在籍中にカイエンやマカンの開発に携わった。
中国市場での反転攻勢が本格化
2026年のVWは、第2四半期導入のクプラ ラヴァルを皮切りに、ID.ポロやシュコダ エピックなどの「アーバンスモールEVファミリー」4車種が2万5000ユーロを切る価格帯から発売されます。これらのモデルはVW製バッテリーが初めて搭載され、ICE車の80%の利益が確保できるとのことです。
また中国市場でも、アウディが上海汽車と開発した「4文字(four letter)」アウディブランドの「E5スポーツバック」に続く第2弾のSUVや、VWが提携先のシャオペンの技術で開発したID.UNYX08などの新製品を4月の北京モーターショーでお披露目します。今年1〜2月の中国乗用車市場では、新エネルギー車の購入補助金の減額でBYDが失速する中で、VWグループが販売トップに返り咲きました。これから新世代EVが出揃うVWにとって、今年は中国市場の販売減少トレンド(2025年269万台/−8%)を反転できるかが試される1年になります。

シャオペンと共同開発されたVWの中国専用車ID.UNYX08(全長5m)の生産が合肥市の工場で始まった。



