キッチンカーやスポーツ観戦会場としても使える多目的EVバス
トヨタ「e-Palette（イーパレット）」は、定員17名のEVバス。広い車室空間や大型ウインドウガラスによる開放感を活かして、移動型店舗やサービス空間として利用できる仕様である。たとえば、朝はシャトルバス、昼は車両を充電しながらキッチンカーとしての店舗営業を実施、夜は音響機材を活用したスポーツ観戦ができるエンターテインメント車両として利用するなど、バスの枠組みにとらわれないマルチロールなモビリティとして設計されている。
電動スロープと低床構造により、歩道からスムーズに乗降できる。
また、低床構造や大開口スライドドア、車高調整機能や電動スロープにより、歩道からの高さが15cm以下であれば車いす利用者が自力で乗降できるほか、車いすの固定機能などもオプションで設定されるなど、アクセシビリティに配慮した設計の採用もポイントだ。
自動運転を筆頭にさまざまな先進装備を搭載
イーパレットは、トヨタの車両制御インターフェースに対応した他社製の自動運転システムを導入することで、自動運転レベル2を実現する車両である。2027年度には自動運転レベル4に準拠した車両の市場導入を目指すべく、継続して機能が実装されていくという。
さらに、自動運転システムと車両制御システムの接続を標準化するとともに、システムの堅牢性や信頼性を高めるための冗長システムも搭載。自動運転システムとセットで安全、安心な走行を実現している。
トヨタの車両制御インターフェースに対応した自動運転システムを組み込むことができる。
手動運転では、次世代の操舵感覚をもたらす「ステアバイワイヤシステム」がハンドル操作量を軽減することで、運転手の負担を軽減。また、異形ハンドルを採用し、先進的なコックピットに仕上げられているほか、安心降車アシストと車室内監視システムでドア周辺を監視することにより、ドア開閉の安全確認もサポートされる。
ちなみに、普通充電・急速充電の両方に対応しており、充電時間は普通充電（6kW）で約12時間、急速充電（90kW）では約40分（満充電の約80％）だという。非常時には電源として、車両が停止した状態で給電できるため、災害が発生した現場での活躍も期待される。
一充電航続距離は250kmで、普通充電・急速充電の両方に対応している。
同車両は多目的アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」およびその周辺エリア、そして「Toyota Woven City」から導入され、輸送サービスとしての活用や物品販売する移動型店舗など、さまざまな取り組みを実施。加えて、一部地域では販売店や自治体、自動運転パートナーとも連携した自動運転実証などを進め、2027年度にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指す計画だ。
車両価格は2900万円だが、環境省による「商用車等の電動化促進事業」の補助金1583万5000円を差し引いた実質価格は1316万5000円となる。発売から当面の間はトヨタが直接注文を受け付け、将来的にはトヨタ車両販売店を通じた販売への移行を予定しているという。
【主要諸元 トヨタ e-Palette】
全長×全幅×全高 ：4950×2080×2650mm
車両重量 ：2950kg
最高出力 ：150kW
最大トルク ：266Nm
バッテリー総電力量 ：72.82kWh
WLTCモード相当航続距離 ：250km
車両価格 ：2900万円
