2025年4月30日、トヨタは米国 Waymo(ウェイモ)と自動運転の技術開発や普及における戦略的パートナーシップに基本合意したと発表した。トヨタは中国においても、Pony ai(ポニーエーアイ)に第7世代自動運転タクシー車両の提供を発表したばかり(同月23日)だ。米中の最先端企業とのパートナーシップによって、日本国内での自動運転技術の進化やロボタクシー事業の普及が加速しそうだ。

ウーブン・バイ・トヨタも加わった最強の布陣。車載OS「Arean」との関連も

2025年4月30日に突然発表されたこのニュース、詳細については「ともに模索していきます。協業の範囲、詳細についてはさらなる議論を進めてまいります」とコメントされるにとどまったが、ウーブン・バイ・トヨタ(トヨタのソフトウエアおよびモビリティの新技術を開発する企業)もかかわることが明らかにされた点に注目しておきたい。

これにより、ウーブン・バイ・トヨタが現在開発している車載OS「Arean(アリーン)」に、Waymoの技術がソフトウエアの一部として組み込まれる可能性が俄然高まったというわけだ。

一方でWaymoは、日本での将来の事業展開を見すえて、配車アプリ大手のGOと日本交通と共同で4月第三週から東京都心7地区において自動運転タクシー車両(有人運転)によるデータ収集を開始している。あくまで初期テストという位置づけで、車両も米国で使われているジャガー Iペイスをベースとした改造ロボタクシーがそのまま使われている。

収集したデータは本社で解析され、ソフトウエアに日本の道路事情に適したアップデートを施し、段階的に作りこんでいく計画とのこと。なお、国内での事業開始時期については、現時点で「未定」とされている。

画像: 4月第三週から東京都心7区で走行データの収集を開始したWaymo。

4月第三週から東京都心7区で走行データの収集を開始したWaymo。

Waymoの知見がトヨタ/レクサス車に反映される可能性も

とはいえ、日本参入に意欲満々なのは今回の提携発表からも明らか。Waymoの共同CEOであるテケドラ・マワカナ氏は、「この戦略的パートナーシップを通じて、トヨタの車両を当社の配車サービスに導入し、Waymoの自動運転技術でトヨタのお客様に感動をお届けしていくことを楽しみにしています」とコメントを寄せている。

この発言にある「トヨタの車両・・・」とは、おそらくAreanを搭載した次世代型JPN TAXI(ジャパンタクシー)のEVバージョンを指しているのだろう。しかも次世代型JPN TAXIだけでなく、トヨタ/レクサスの次世代市販車たちにも、Waymoの自動運転技術が投入されることになりそうだ。

それがいわゆる自動運転レベル3なのかレベル4なのかはわからないが、Waymoによってアップデートされてきた自動運転技術が、トヨタ独自の運転支援技術の高度化&自動運転技術の普及に貢献する。こちらも、ごく近い将来に登場するAreanを実装した次世代EVから適用されるはずだ。

画像: トヨタが培ってきた運転支援技術および自動運転技術にWaymoのノウハウが加わる(画像はイメージ)。

トヨタが培ってきた運転支援技術および自動運転技術にWaymoのノウハウが加わる(画像はイメージ)。

2026年の限定的な導入目標を控え、日本でもロボタクシー関連の話題が増えてきた。課題となっていた法整備、そして事故発生時の責任の所在などといった問題解消をも、諮問委員会による審議が重ねられている。

米国では、テスラが2025年6月からテキサス州の一部地域でロボタクシーの実証実験を開始すると伝わっている。中国でも、ロボタクシー業界大手のPony.aiが高速道路でのレベル4自動運転の実証実験に入った(その実験車両はbZ4Xをベースにしたもので、トヨタも開発に関わった)。すでに外堀は埋まりつつある。

日本でも、日産自動車が2027年度の実現に向けてロボタクシーの実証実験を加速させる。自動運転技術の象徴とも言うべきロボタクシーには、依然としてさまざまな課題は残るものの、実現に向けて着々と進んでいるようだ。

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