先行する外資に対抗する国内自動車メーカーの動向は?
Waymoや中国勢など、世界中のロボタクシー事業者は、自動車メーカーから車両を調達し、自社開発のソフトウエア/ハードウエアを搭載するビジネスモデルを採用している。テスラは、車両からソフト/ハードまで垂直統合するという点ではむしろ例外的な存在とも言えるだろう。では、テスラのような動きは、日本の自動車メーカーにも見られるのだろうか。
かつてホンダとGMは2026年の国内営業開始を目指して協業、専用車両もほぼ完成していたのだが提携の解消でプロジェクトもご破算。現在のところ正式に名乗りを上げているのは、日産自動車のみという状況だ。
日産自動車のロボタクシー事業への取り組みは早く、すでに2017年には自社開発によるロボタクシー車両で実証実験を開始している。そして2025年3月には、やはり自社開発による「ドライバーレス自動運転車」による公道走行実験を公開した。ドライバーが同乗しない完全遠隔監視による実験走行であり、市街地の公道をドライバーレスで走った初めての事例となった。
同社は2025年下期から2026年度にかけて、横浜市内で約20台を使用する大規模なサービス実証実験も実施予定。パートナー企業とともに、2027年度には商業サービスの開始を目指している。

2025年3月には、自社開発による「ドライバーレス自動運転車」による公道走行実験を公開した日産自動車。2027年度内のサービスインをめざす。
トヨタ自動車の動向も気になるところ。中国ではバイドゥ傘下のPony.aiに出資してロボタクシーの開発・生産を行うほか、現地に研究開発機関も設立している。また、米国では研究機関を設立しており、スタートアップ企業にも積極的に投資するなど、慎重かつ大胆に戦略を練っている様子だ。
国内では、ソフトバンクとともに「MONE Technologies(モネテクノロジーズ)」を設立し、2024年後半から東京臨海副都心で、ドライバーが同乗する遠隔監視型の自動運転車両による試験運行を開始している。

遠隔監視に加えドライバーによる監視も併用するレベル2相当のロボタクシー。実験車両はトヨタが北米を中心に販売するシエナを使用。
そして、極めつけとも言えるのが、2025年4月30日に発表されたWaymoとのパートナーシップ締結だ。詳細はこれから協議していくとのことだが、Waymoの共同CEOであるテケドラ・マワカナ氏は、「この戦略的パートナーシップを通じて、トヨタの車両を当社の配車サービスに導入し、Waymoの自動運転技術でトヨタのお客様に感動をお届けしていくことを楽しみにしています」とコメントを寄せている。つまり、Waymo日本上陸のあかつきには、トヨタ自動車とWaymoの共同開発ロボタクシーが登場する可能性が高そうだ。