ロボタクシーとパーソナルカーのADASが融合する日はまだ遠い?
ホンダはコストも考慮してか、ゼロシリーズのSoCのパートナーとしてルネサスエレクトロニクスを選び、ADASシステムは米スタートアップのhelm.aiと協力します。NVIDIAのGPUはハイスペックではあるものの、その性能の一部しかADASでは使われないし、消費電力も抑えたいということが背景にあります。モービルアイは、EyeQ6などのSoCのコアコンピューターの性能はそこそこに、学習内容によって異なる性能のアクセラレーターを組み合わせて最適化を図っています。
また、BMWも2025年に登場する新世代EVのノイエ・クラッセは、クアルコムの「スナップドラゴン ライドフレックス」を採用していますし、ソニー・ホンダのアフィーラも同様です。AVにおいても、NVIDIAが覇権を握るのか。モービルアイやクアルコム、さらには日本のティアフォーやチューリングのような中小のスタートアップにもAVビジネスのチャンスがあるのか。
また、トランプ次期政権下で中国の自動車メーカーに米国製の高性能半導体を販売し続けることができるのか。ジェンスン・フアン氏のAV時代到来宣言の一方で、ロボタクシーとパーソナルカーのADASが融合するXデーはまだ見えず、再び沸き立ち始めたAV開発から当分は目が離せそうにありません。(了)
●著者プロフィール
丸田 靖生(まるた やすお)1960年山口県生まれ。京都大学卒業後、東洋工業(現マツダ)入社。海外広報課、北米マツダ(デトロイト事務所)駐在をへて、1996年に日本ゼネラルモーターズに転じ、サターンやオペルの広報・マーケティングに携わる。2004年から2021年まで、フォルクスワーゲングループジャパン、アウディジャパンの広報責任者を歴任。現在、広報・コミュニケーションコンサルタントとして活動中。著書に「広報の極意−混迷の時代にこそ広報が活躍できる」(2022年ヴイツーソリューション)がある。