2025年1月8日(日本時間)、米ラスベガスで開幕したCESは、予想通りAI一色の様相を呈していました。スマートホームやSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)など、メガOEMやティア1サプライヤーの展示内容そのものは前年と大きくは変わらなかった印象ですが、2024年より一層AIにフォーカスした印象です。自動車においては、大規模言語モデル(LLM)と生成AIによるIVI(イン・ヴィークル・インフォテイメント)と自動運転(AV=Autonomous Vehicle)への流れが加速し、これから実装されていく技術がより明確になってきました。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOの基調講演では、AVとヒューマノイドが当たり前になる未来が提示され、自動運転車の実現性への期待が高まりました。フアン氏の講演とADASの老舗であるモービルアイやロボタクシーのトップランナー ウェイモの展示などから、AVの現在地について読み解いてみます。(前編・後編にわけて掲載します。本記事は後編)

モービルアイが目指す完全自動運転(L5)へのロードパス

ウェイモは、2023年までの700万マイルのロボタクシー走行において、人身事故を起こす比率は人間ドライバーの7分の1(100万マイル走行当たり0.41回)と報告しており、「完全な」自動運転にかなり近いと言えるでしょう。

しかし現実問題として、ウーバーが2018年にテスト走行中に起きた1回の歩行者の死亡事故でAV開発を止め、またGMクルーズが2023年の人身事故の影響でロボタクシー開発から撤退したことを考えると、AVの事故に対する社会の目は人間ドライバーによる事故よりもずっと厳しいと想定すべきでしょう。

少なくとも、コンピューター工学の博士号を持つシャシュア氏から見れば、テスラFSDのアプローチがあらゆる環境におけるレベル5の完全自動運転という「聖杯」に到達するかは不明であり、モービルアイのアプローチがそれに至るかも同様に分からないと率直に認めているのです。

画像: モービルアイがこれまで実装したパーソナルカー用のADASはテスラに似たアプローチだが、レベル3を実装する「ショーファー」では運転領域よりも安全性を重視し、そこから最終ゴールのレベル5を目指す。

モービルアイがこれまで実装したパーソナルカー用のADASはテスラに似たアプローチだが、レベル3を実装する「ショーファー」では運転領域よりも安全性を重視し、そこから最終ゴールのレベル5を目指す。

モービルアイは、ドライバーの操作が常に必要なレベル2、「ハンズオフ・アイズオン」のレベル2+、高速道路などの一定条件下で「ハンズオフ・アイズオフ」が可能なレベル3、限定した地域で完全自動化のレベル4とステップを踏み、最終的にはあらゆる環境で完全自動運転のレベル5(L5)を目指しています。

現在「スーパービジョン(SV)52」と呼ぶカメラベースのレベル2のシステムをジーカーやポールスターに提供しているモービルアイは、2026年にポルシェやアウディなどのフォルクスワーゲングループ車で、カメラシステムに5個のレーダーを備えた「ハンズオフ・アイズオン」のレベル2+システム(SV62)を、2027年にはさらにライダー2個を追加して時速130kmまでのアイズオフできる「ショーファー(Chauffer)」を導入。

さらに、フォルクスワーゲン ID.Buzzにライダー9個とイメージレーダー5個を搭載して、Driveと呼ぶレベル4の運行をミュンヘンやフェニックスで開始する予定です。(現在はドライバー監視 「supervised」でテスト走行を実施中)

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