ウェイモも運行地域の拡大フェーズに突入
さて、もう1つの自動運転の雄であるウェイモは、長年アリゾナ州フェニックス市のみで、石橋を叩いて渡るようなAVの実装を行なってきました。
2009年にGoogleから独立して15年になりますが、2021年にサンフランシスコに進出し、クルーズ撤退のあとは、同市のほぼ全域でドライバーレスのロボットタクシー(課金あり)を拡大、2024年は第3番目の都市としてロサンゼルスにも進出し、現在全米で700台のAVを運行しています。1週間に15万回のライドを提供し、2024年は総計400万マイルを走行して前年の5倍以上の実績となりました。
2025年はアトランタとテキサス州オースチンでウーバー(Uber)と組んで運行サービスを開始するほか、マイアミにも進出します。2020年から使用してきたジャガー iペイスをフェーズアウトしつつ、ジーカーが専用設計したシャトルとヒュンデ アイオニック5がフリートとして導入される予定で、これらの車両はCESのウェイモブースで展示されていました。
ウェイモのヴィジョン「世界で最も安全なライドヘイリングのエコシステムを提供する」ことは創業以来変わらず、親会社のグーグルは2024年夏に50億ドルを追加投資すると発表しています。一方で、累計で1兆円以上をクルーズに投資したGMが、2023年秋のサンフランシスコでの人身事故による運行停止命令を受けて、ホンダと共同開発していたロボタクシーシャトル「オリジン」の生産を中止、さらには2024年末にはクルーズそのものを整理解散する決定を下したのとは対照的です。
GMの決定の背景には、ロボタクシー会社が事業を成功させるために、今のウーバー以下の料金でライドサービスを提供する必要があるため、車両供給する側も低価格で販売せざるを得ず、ライドサービス会社も車両メーカーも大きな利益は見込めないとの計算があったと思われます。
ウェイモは、日本交通と提携して東京にも2025年に進出しますが、タクシー会社にAV用ハードウェアとソフトウェア付き車両を提供することで果たしてこれまでの投資に見合った十分な利益を得ることができるのかは不明です。ライダー4個を含む今のセンサーセットの価格はまだ高価なはずですし、世界の主要都市で誰よりも早くサービスを提供することに事業化の成否がかかっているのでしょう。
これまで慎重だったウェイモの運行都市の拡大が急ピッチなのは、テスラがサイバーキャブを発表したことも影響しているはずです。