2024年11月21日、ホンダは「夢の次世代電池」とも呼ばれる車載用全固体電池の量産化に向けたパイロットラインを公開した。国内自動車メーカーでは、日産自動車に次ぐお披露目となる。車載用の全固体電池は、トヨタを筆頭に日本勢が圧倒的な優位にあると言われているが、世界的な開発競争の激化により、あと数年で量産車への搭載が始まるという予測も現実味を帯びてきた。(タイトル写真はホンダが全固体電池を初搭載するとみられるスーパースポーツカーのコンセプトカー)

欧州勢と韓国勢は北米市場の覇権を狙っているのか?

一方、欧州勢ではメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンなどもゲームチェンジャーとなるべく虎視眈々と機会をうかがっている。欧州勢に特徴的なのは、いずれも米国スタートアップを中心に国外のパートナーとタッグを組んで開発を進めている点だ。メルセデス・ベンツはFactorial Energy社やProLogium社、BMWはSolid Power社、フォルクスワーゲンはQuantum Scape社など、北米のスタートアップを中心にいずれも複数のパートナーと組んで開発速度をあげている。日本勢が莫大な投資にもかかわらず技術の「手の内化」にこだわるのとは対照的だ。

画像: メルセデス・ベンツも米ファクトリアル社と共同開発した全固体電池セル「Solstice(ソルスティス)」を発表。2020年代末までに量産体制を整える。(写真はコンセプトカーVISION-EQXX)

メルセデス・ベンツも米ファクトリアル社と共同開発した全固体電池セル「Solstice(ソルスティス)」を発表。2020年代末までに量産体制を整える。(写真はコンセプトカーVISION-EQXX)

すでに車載バッテリーで中国勢に次ぐ世界シェアを誇る韓国勢の動向にも注目しておきたい。SKオンはすでに全固体電池のパイロットライン建設に着手しており、2025年には稼働を開始する予定。また、LGエナジーソリューションも2030年までの量産化を宣言している。サムスンはすでに試作品を発表しており、GMとの共同生産計画も発表している。当然、お膝元であるヒョンデやキアにも、国内生産の全固体電池が搭載されるようになるだろう。

以上、ざっと俯瞰しただけでも、全固体電池を巡る開発競争がいかに熾烈なものであるかがご理解いただけたのではないだろうか。現状では日本勢がまだ一歩リードしている感はあるものの、すぐ後ろには中国勢が迫っており、ことによっては立場が逆転しかねない。

全固体電池はEVだけのものではない。バイク、空飛ぶクルマ(eVTOL)、さらにはボートや貨物船まで、陸・海・空のあらゆるモビリティの電動化を革新する技術だ。これをいち早く、しかも低価格で提供できたプレイヤーが次世代モビリティの覇者となる。そして、それが我々のモビリティライフに与える影響はとてつもなく大きいはずだ。

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