2024年4月19日、日本最大のEV/PHEV用急速充電ネットワークを運営する株式会社e-Mobility Power(以下、eMP)が、今後の急速充電ステーションの整備計画を発表した。1口最大150kW対応の400kW級超急速充電器を本年度以降から整備していくという。(タイトル写真は総出力400kWの新型マルチコネクタ充電器、通称“赤いマルチ”のイメージ)

総出力400kWのマルチコネクタ急速充電器が登場

今回の発表は、2023年10月に経済産業省が発表した「充電インフラ整備促進に向けた指針」に基づいたもの。EVの高性能化や、EV/PHEVの普及に伴ういわゆる充電渋滞の解消に向けた取り組みだ。

具体的には「原則1口最大90kW以上、1箇所に4口以上設置する場合には、原則1口以上最大150kWの超急速充電器を整備していく方針」という。またニチコン株式会社と共同開発した4口タイプの新型マルチコネクタタイプ充電器、通称“赤いマルチ”の設置も進めていく。

新型急速充電器は、総出力200kWの従来機に電源盤を追加することで総出力を400kWに増強。1口あたり最大150kWの充電が可能になり、たとえば下図のように4台同時の使用時でも1口最大90kWで充電できるとしている(従来型“青いマルチ”では、複数台の同時充電時には1台あたりの充電量が大幅にダウンする=パワーシェアリング機能)。

画像: 【新型マルチコネクタタイプのイメージ図】新型機では複数台の同時充電時でも90kWの充電が維持できるのは朗報(図は4口タイプの例)。

【新型マルチコネクタタイプのイメージ図】新型機では複数台の同時充電時でも90kWの充電が維持できるのは朗報(図は4口タイプの例)。

画像: 新型機では各ディスペンサに独立した操作部を設けて順番待ちを解消するとともに、ケーブル操作補助機構を採用してスマートな充電環境を実現する。

新型機では各ディスペンサに独立した操作部を設けて順番待ちを解消するとともに、ケーブル操作補助機構を採用してスマートな充電環境を実現する。

従来機“青いマルチ”も電源盤の拡張を実施

さらに2021年度以降に高速道路SA/PAで設置が進んできたニチコン製マルチタイプ充電器(いわゆる“青いマルチ”)も、今秋以降に改修を進めていくことが発表された。

まず、充電器からの出力制御機能(「ダイナミックコントロール」)に対応していないEV/PHEVへの充電出力向上を実現するため、パワーシェアリング機能の改良を行い、現状の最大20kWから60kWまで高める。

画像: 既存の“青いマルチ”も今秋以降に400kWでの運用が始まりそうだ。

既存の“青いマルチ”も今秋以降に400kWでの運用が始まりそうだ。

さらに既存のニチコン製マルチタイプ充電器の電源盤を拡張することで、新型機同様の400kWでの運用を可能にする。

画像: eMPは2023年度に100kW級急速充電器369口・185基(150kW級5口・3基を含む)を新設・更新した。インフラ整備は着々と進んでいる。

eMPは2023年度に100kW級急速充電器369口・185基(150kW級5口・3基を含む)を新設・更新した。インフラ整備は着々と進んでいる。

新型機および従来機の改修は今秋以降、順次始まるが、充電スピードの改善により“充電渋滞”解消に向けた道筋が見えてきた。とは言え、今後予想されるEV/PHEVの普及加速やさらなる高性能化への対応に向けたロードマップも準備しておく必要があるだろう。

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