ブランドグループを再編。高い利益率を課す
記者会見で、VWグループCEOのオリバー・ブルーメ氏は、台数よりも価値(利益)に重きをおく戦略(Value over Volume)を強調しました。利益を犠牲にして価格を下げて台数を追うことはせず、現在のグループの7.1%の営業利益率を中期的に9〜11%に引き上げることを目指しています。
営業利益率の目標は2年前に再編されたブランドグループごとに設定されています。
・VWブランドグループ コア 8% (内VW乗用車ブランドは6.5%)
・ブランドグループ プログレッシブ 14%
・ブランドグループ スポーツラグジュアリー 20%
・ブランドグループ トラック 9%
VWブランドグループコアは、VW乗用車、シュコダ、セアト/キュプラ、VW商用車の5つのブランドからなります。最量販のVW乗用車の昨年の営業利益率は4.1%で、これを2026年までに6.5%に引き上げるために、3年間で100億ユーロのコスト削減を行うパフォーマンスプロジェクトに着手しました。
製品としては、EVのラインアップにスタイリッシュなID.7ツアラーやID.Buzzも加わりますが、EV販売の伸びはあまり期待できないため、モーター走行距離を120kmに伸ばしガソリンエンジン走行と合計で900km航続できる新型ティグアンのプラグインHEVや、初代発売から50周年を迎えたゴルフの部分改良モデルなどエンジンを搭載するモデルに頼る一年になりそうです。開発中の2万5000ユーロからのEVであるID.2は2026年発売の予定で、まだ少し先になります。
プログレッシブブランドは、かつてのアウディグループ(アウディ、ランボルギーニ、ドゥカティ)にベントレーが加わった形ですが、これまでグループで9〜11%としていた利益率を14%に引き上げる目標が設定されています。アウディは、今年後半ようやくQ6 e-tronが発売されますが、EVラインアップの展開はライバルに遅れをとっており、販売はライフサイクル後期にあるエンジン車のアップデートに頼る形でこちらも厳しい状況です。ランボルギーニやベントレーは利益率が20〜25%の高収益ブランドですが、販売台数が1万台前後なので売上高や利益への貢献は限定的です。