フォルクスワーゲンを代表するクルマ、ゴルフが今年50周年を迎えました。そして2024年1月24日には新型が発表されています。そこで今回はゴルフという世界のベストセラーカーの歴史を振り返りつつ、昨今のフォルクスワーゲンの戦略などについても触れてみたいと思います。(タイトル写真は新型ゴルフGTEと初代〜7世代の歴代モデル)

若き天才デザイナー、ジウジアーロの不滅の傑作

1970年1月にヴォルフスブルグに招聘されたジウジアーロ氏は、基本の設計要件やスケッチを見せられますが、30歳そこそこの若いデザイナーが、エンジニアリングや製造要件も深く理解していることにVWの経営陣は驚いていた、と2013年の「ゴルフ7」の発表会で来日した際に同氏は話していました。「自動車デザイナーは単なるスタイリストではいけない。パッケージングや製造性への理解が必要」と常々この巨匠は述べていますが、なんでも前年のトリノショーでVWの社長が注目したデザインの半数以上が同氏の手によるものだったというほど、若くして人気絶頂のデザイナーだったわけです。

ジウジアーロ氏のデザインした「ゴルフI」は、四角いヘッドランプを採用していましたが、コストがかかりすぎるということで最終的に丸型ライトに変更されて発売されました。

画像: 2013年5月、ゴルフ7のプレス発表会で来日したジウジアーロ氏(左)。隣はVWグループデザインのトップ(当時)のワルター・デ・シルバ氏。

2013年5月、ゴルフ7のプレス発表会で来日したジウジアーロ氏(左)。隣はVWグループデザインのトップ(当時)のワルター・デ・シルバ氏。

初代ゴルフを始め、フィアットパンダやマセラッティギブリ、デロリアンDMC12など400を優に超える量産車やコンセプトカーをデザインしたジウジアーロ氏は、齢85歳を超えても依然として精力的に活動を続けています。AIだSDVだとデジタル技術による革命の洗礼を受けている自動車ですが、それでもデザインはクルマの魅力の最大の部分です。最近も、イタリアの新聞にテスラのサイバートラックは「自動車のピカソだ」と評したという同氏の見識と活力は衰えを知りません。

画像: 1983年発売のゴルフ2。初代のデザインDNAを継承しながら、室内空間を拡げ、見事な面取りで進化させたと現VWブランドチーフデザイナーのアンドレアス・ミント氏は解説している。

1983年発売のゴルフ2。初代のデザインDNAを継承しながら、室内空間を拡げ、見事な面取りで進化させたと現VWブランドチーフデザイナーのアンドレアス・ミント氏は解説している。

日本でも累計100万台以上を販売され、2015年まで28年連続輸入車モデル販売No.1だったゴルフを所有された方も少なくないでしょう。太い「く」の字型のCピラーやガラスエリアとボディ部分の黄金比などにみられるデザインの継承と発展や、歴代モデルの技術的革新をこの50年記念冊子で振り返ってみてはいかがでしょうか。(了)

※ゴルフ50周年記念冊子はこちらからダウンロードできます。

●著者プロフィール
丸田 靖生(まるた やすお)1960年山口県生まれ。京都大学卒業後、東洋工業(現マツダ)入社。海外広報課、北米マツダ(デトロイト事務所)駐在をへて、1996年に日本ゼネラルモーターズに転じ、サターンやオペルの広報・マーケティングに携わる。2004年から2021年まで、フォルクスワーゲングループジャパン、アウディジャパンの広報責任者を歴任。現在、広報・コミュニケーションコンサルタントとして活動中。著書に「広報の極意−混迷の時代にこそ広報が活躍できる」(2022年 ヴイツーソリューション)がある。

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