生まれ変わったフラッグシップセダン
クラウンといえば、トヨタのフラッグシップFRセダンとして長年愛されてきた日本専売車種だった。かつては「いつかはクラウン」と言われるほど憧れられていたモデルだ。そして、この16世代目ではついにグローバルカーとして羽ばたくことになった。
そんな状況で開発された新型クラウンは、セダンありきではなく、「クラウン」とは何かを徹底的に見つめ直して誕生。クラウンの「革新と挑戦」というDNAを引き継ぎつつ、ユーザーの多様な価値観やライフスタイルに寄り添うクルマとして生まれたのが第一弾の「クロスオーバー」となる。
その後、2023年10月に第二弾の「スポーツ」が発表され、第三弾として今回の「セダン」の発表に至ったわけだ。
「セダン」では、快適な乗り心地と上質な走りとともに、ショーファーニーズを満たすくつろぎの空間が演出され、正統派セダンを再定義する新スタイルにより、パーソナルにもビジネスにも応える「ニューフォーマル」という新たな価値観に挑戦した。
また、水素社会の実現に向け、歴代モデルで初の燃料電池車(FCEV)もラインナップ。販売の中心となる2.5Lのハイブリッドモデル(HEV)とともに、多様なニーズに応える選択肢を増やしながら、電動車の普及やカーボンニュートラルの実現に貢献していくこととしている。
美しいたたずまいでセダンを再定義
エクステリアデザインのコンセプトは「ニューフォーマルセダン」。FRプラットフォームを生かした水平基調の伸びやかなプロポーションにより、従来のセダンにはなかった伸びやかで美しいたたずまいを実現している。
また、鋭さとワイド感を強調する「ハンマーヘッド」と、縦基調のパターンを施した大型台形グリルの「アンダープライオリティ」の組み合わせと、リヤのワイド感を強調した横一文字のテールランプにより、トヨタのフラッグシップモデルとしての存在感を強調したデザインに仕上げられた。
インテリアでは、大型の杢目調パネルを採用し、インストルメントパネルから左右のドアに連続する配置やコンソールが浮き出て見えるようにすることで、落ち着きがありながらも広がりのある室内空間を実現している。
さらに、インストルメントパネル左右や前席足元、リヤドアトリム左右には全64色に点灯可能なLED照明を配置し、行燈のような柔らかい灯りによる間接光で、日本ならではの「おもてなしの心」を体現した。
乗り心地についても、ショーファーニーズに応えるべくホイールベースが3mに拡大したことで、後席のゆとりを確保するとともに足元のスペースも広くなり、足抜きしやすいスムーズな乗り降りが可能になった。
また、リラクゼーション機能や電動式サンシェードなど、快適な移動空間を提供するおもてなし装備も用意され、サスペンションセッティングの最適化や、AVSによる減衰力の制御により路面の凹凸が乗客に伝わらないように進化している。