9月12日(現地時間)、アメリカン・ホンダモーター、BMWグループ、フォード・モーターの3社が、北米でEVを活用した電力ネットワークサービス事業に進出し、新会社「Charge Scape(チャージスケープ)」の設立に合意したことを発表した。電力ネットワークとは、発電や送電、変電や配電のために使う電力設備がつながって構成するシステムのこと。ここにEVを効率良くつなげることで、電力の安定供給とともに電力会社のコスト低減もめざすという。(タイトル写真はイメージです)

エネルギーマネジメントの覇権争い、最後に笑うのはどちらだ?

チャージスケープはEVオーナーが享受できるメリットを以下のように説明している。

「チャージスケープのプラットフォームを使う各自動車メーカーのEVを所有するユーザーは、自動車メーカーが提供するシステムやプログラムへの登録を通じてプラットフォームにつながることで、V1G機能による最適な充電スケジュール管理や、電気代が安いオフピーク時間帯での充電などで、電気代の削減が可能となります。こうした充電制御サービスは、充電に関する情報や信号の伝達に自動車メーカーならではの車載テレマティクス技術を活用する仕組みにより、家庭にスマート充電器(通信ネットワークを介して情報を送受信できる充電器)がないEVユーザーも利用が可能です。さらに将来提供を計画しているV2G機能を利用してEVから電力ネットワークに放電することで、EVユーザーが売電による収益を得ることも可能となります」

日米で電力事業の仕組みが異なるので単純な比較はできないが、かの地では電力事業への参入ハードルは日本より低く、チャージスケープが参入すれば急速に勢力を拡大する可能性は高い。電力会社にとっても、マネジメント技術を自社で囲い込むテスラより、協調的な方針を掲げるチャージスケープとは手を組みやすいだろう。

「EVユーザーとさまざまな接点を持つ自動車メーカーが参画するプラットフォームを使うことで、EVユーザーと効率よくつながることが可能となります。また、EVを分散型電源として活用した効率的な電力需給調整により電力ネットワークの安定化が図られ、再生可能エネルギー由来電力の活用が最大化されます」

ちなみにチャージスケープは本格稼働を開始後、他の幅広い自動車メーカーがこの取り組みに参画することを歓迎するとしている。上述7社もこの取り組みに関係していることは間違いないだろう。つまり、エネルギーマネジメントを巡ってテスラ包囲網は着々と狭まっているともいえる。

“EVは蓄電池である”という側面に着目して躍進するテスラと、それを追うレガシーメーカーの戦い。シェア(販売台数)やバッテリーの進化ばかりが話題になりがちだが、EVはエネルギーインフラでもあるという点も見逃してはならないだろう。

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