「打倒テスラ」だけではない、参加メーカーの顔触れにヒント
7社が米国に設立する新会社による充電ステーション網では、CCS(Combined Charging System1)規格とNACS(North American Charging Standard)規格の両方に対応するデュアルガン方式の高出力急速充電器(おそらく350kW級)が設置される。
また、テスラと同じくプラグを差しこむだけで電気代の決済が可能ないわゆる「プラグ&チャージ」の技術を採用するなど、ユーザー利便性を備えた快適な充電環境を実現するという。2024年夏には早くも米国で最初の充電ステーションを開設、以後は米国/カナダで3万基以上の充電器設置を目指している。いつまでにとは明言されていないが、数年内に達成されるのは間違いない。
この発表に対して、「打倒テスラを目標にレガシー自動車メーカーの反攻が始まった」という分析が多いようだが、公式リリースにはテスラを意識した表現は見当たらない(あえて言及しなかった可能性もあるが)。そもそも新会社が採用するNACSは、テスラが開発した規格である。単純に「テスラ包囲網」と言い切るだけではその真意が見えてこない。2030年には米国内のEV販売比率が50%を超えることを見越したインフラ整備であると謳っているが、それだけが目的ではないはずだ。
まず7社の顔触れである。GM、メルセデス・ベンツグループに関しては、米国内向けEVにNACS規格を採用することを発表したばかり。一方、いち早くNACS採用を発表したフォード、欧州勢では一番乗りとなったボルボ/ポールスター、さらに国内勢では初めて手を挙げた日産も今回の7社には入っていない。
アメリカン・ホンダモーターはGMとの強固な協業関係があるので参加するのは当然として、以前からNACS規格採用を囁かれていたヒョンデとキアも今回の7社に入っている。一方、NACS規格導入の検討を開始していたフォルクスワーゲン・グループ、トヨタ/レクサスは現時点では参加を表明していない。