2023年の4〜6月期の自動車メーカー各社の決算が出揃いましたが、日・米・欧の主要各社は揃って前年同期よりかなり良い数字を出しています。ただ、昨年の4〜6月は半導体不足に加え、上海の2カ月のロックダウンの影響で、部品不足やコンテナ輸送の混乱などがあり各社減産を余儀なくされたので、前年同期との比較だけでは実情は必ずしも明らかではありません。ここでは、ドイツプレミアムメーカー3社の上半期(1〜6月)の数字を見ながら、販売の現状や電動化戦略の進捗を比較してみます。(タイトル写真は「BMW 760i xDrive」)

フレキシブルなパワートレイン戦略はEV過渡期の順応力が高い

BMWのオリバー・ツィプセCEOは、かねてより「エンジン車の販売禁止の時期を決めることは賛成しない」と主張し、「順応力を持つ(resiliant)ためには、フレキシブルである必要がある」と、3つのパワートレインに等しく力を入れていますが、その戦略が今のところ成功しているように見えます。

メルセデスは、EQA、EQB、EQC、EQE、EQS、EQV、EQTまでBEVのフルラインアップを誇りますが、販売台数ではBMWに一歩遅れをとっている形です。アウディも、2026年以降の新型車は全てBEVにする戦略ですが、Q6 e-tronなどポルシェと共同開発したBEV専用プラットフォーム(PPE)車の発売の遅れや、PHEVにあまり力を入れていなかったことが裏目に出た形で、3社の中では後塵を拝している状況です。

画像: 新型メルセデス・ベンツEクラス E400e. モーターのみで100km走行が可能なPHEV。

新型メルセデス・ベンツEクラス E400e. モーターのみで100km走行が可能なPHEV。

フォルクスワーゲングループ(VW)全体でも、上半期のBEVの販売台数は32万1000台で、440万台の総販売台数うちのシェアは7.4%と伸び悩んでいます。特に世界販売の3割以上を占める中国のNEV(新エネルギー車)市場での競争力不足が深刻で、フォルクスワーゲンは新興EVメーカーのXpeng(小鵬)に資本参加し、アウディは提携先の上海汽車のプラットフォームを利用してNEVのラインアップを補完するという戦略に舵を切りました。VWによれば、これらは「in China, for China」戦略の一環で、中国市場特有のICV(Intelligent Connected Vehicle)の強化のためということです。

画像: 2018年にフルサイズSUVのBEV「e-tron(現在のQ8 e-tron)」を発売し高い評価を得たアウディだが、その後はe-tron GTとQ4 e-tronのみでBEVラインアップの充実が待たれる。

2018年にフルサイズSUVのBEV「e-tron(現在のQ8 e-tron)」を発売し高い評価を得たアウディだが、その後はe-tron GTとQ4 e-tronのみでBEVラインアップの充実が待たれる。

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