4月の上海訪問では、同市から170km北西の常州市にあるBYDの完成車工場と販売店を訪れる機会がありました。直近の5年間で販売台数を10倍に伸ばして427万台(2024年)とし、一気にホンダや日産を抜き去って世界第7位の自動車メーカーに躍り出たBYDは、近年の自動車産業史に例をみないスピードで成長を続けています。日本でも軽自動車市場に参入することを表明した同社ですが、ここでは現地の生産工場や販売店で目にした最新の状況を報告します。(タイトル写真:上海モーターショーで展示されたBYDの「漢(ハン)L 黒神話:悟空」。大人気のアクションゲームのタイトルにちなんだ特別モデルで、EV仕様は1000馬力、最高速は300km/h超え)

販売店で800kWの超高速充電を体験

工場見学のあとに訪れた常州市内のBYD販売店では、BYD「ハン(漢)」と「タン(唐)」の急速充電のデモンストレーションが行われました。1000V×1000A=最高1000kWの出力で1秒間に2km、5分で400km走行分という充電スピードは、ガソリン車の給油と同等で、BYDが「油電同速」と喧伝する所以です。充電プラグは、テスラのスーパーチャージャーと同じくらいの大きさで、軽くて片手で充電口に差し込むことができます。

販売店のスタッフがスマホアプリのスタートボタンをタップすると、インパネ内の充電カウンターが猛スピードで動き始め、700kWを超える電力でSOC(充電量)は10%、20%、30%とみるみる上がっていきます。8分で72%(436km分)まで入り、その時点でも約300kWの出力が保たれていました。

充電器のそばに1350kWh容量の自社製蓄電池が2台設置されていますが、ここから店内にも電気を供給しているので最高出力の1000kWは出ていないとのことでした。それでもこのスピードであれば、高速道路のパーキングエリアでトイレに行ってコーヒーを買って戻ったら8割以上充電されていることになりそうです。

中国のNEVメーカーは、それぞれ10分で300kmなど充電スピードの速さをアピールしていますが、BYDが3月に「油電同速を」発表した1カ月後には、世界最大の電池メーカーであるCATLが5分で520km充電できるLFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)を発表し、ここでも競い合っています。

BYDは中国全土の販売店を中心に4000カ所にこの「油電同速」の爆速チャージャーを導入する予定で、充電インフラにおいても、高速道路のSAにようやく出力150kWの充電器が整備されつつある日本や、自動車メーカーなどが出資する急速充電ネットワーク「アイオニティ(IONITY)」の350kWが目下最速の欧州を遥かに凌ぐ性能です。

This article is a sponsored article by
''.