販売店で800kWの超高速充電を体験
工場見学のあとに訪れた常州市内のBYD販売店では、BYD「ハン(漢)」と「タン(唐)」の急速充電のデモンストレーションが行われました。1000V×1000A=最高1000kWの出力で1秒間に2km、5分で400km走行分という充電スピードは、ガソリン車の給油と同等で、BYDが「油電同速」と喧伝する所以です。充電プラグは、テスラのスーパーチャージャーと同じくらいの大きさで、軽くて片手で充電口に差し込むことができます。
販売店のスタッフがスマホアプリのスタートボタンをタップすると、インパネ内の充電カウンターが猛スピードで動き始め、700kWを超える電力でSOC(充電量)は10%、20%、30%とみるみる上がっていきます。8分で72%(436km分)まで入り、その時点でも約300kWの出力が保たれていました。
充電器のそばに1350kWh容量の自社製蓄電池が2台設置されていますが、ここから店内にも電気を供給しているので最高出力の1000kWは出ていないとのことでした。それでもこのスピードであれば、高速道路のパーキングエリアでトイレに行ってコーヒーを買って戻ったら8割以上充電されていることになりそうです。
中国のNEVメーカーは、それぞれ10分で300kmなど充電スピードの速さをアピールしていますが、BYDが3月に「油電同速を」発表した1カ月後には、世界最大の電池メーカーであるCATLが5分で520km充電できるLFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)を発表し、ここでも競い合っています。
BYDは中国全土の販売店を中心に4000カ所にこの「油電同速」の爆速チャージャーを導入する予定で、充電インフラにおいても、高速道路のSAにようやく出力150kWの充電器が整備されつつある日本や、自動車メーカーなどが出資する急速充電ネットワーク「アイオニティ(IONITY)」の350kWが目下最速の欧州を遥かに凌ぐ性能です。

「油電同速」の超急速充電のデモは、フロントガラス上端にライダー(LiDAR)を備えた「天神之眼B」を搭載するBYD「ハン(漢)」で実施。

「油電同速」の超急速充電のデモは、フロントガラス上端にライダー(LiDAR)を備えた「天神之眼B」を搭載するBYD「ハン(漢)」で実施。

運転席のディスプレイに表示される充電情報。出力666kWで充電しており、6分で70%充電予定と表示されている。

運転席のディスプレイに表示される充電情報。出力666kWで充電しており、6分で70%充電予定と表示されている。

充電状況はスマホでも確認できる。

1台1350kWh容量の自社製蓄電池を2台設置する。
