2025年1月28日(現地時間)、トヨタモーターヨーロッパは、水素充填ステーションメーカーの「Hydrogen Refueling Solutions(以下、HRS社)」、クリーンエネルギーの研究開発機関である「ENGIE Lab Crigen(以下、ENGIE)」と共同で欧州横断輸送ネットワーク(Trans-European Transport Networks:TEN-T)をカバーする大規模な水素充填インフラを開発・展開する契約を締結した。EU各国をつなぐ広大なTEN-Tネットワーク構想に則り、2025年第4四半期より、沿道にHRS社が開発した水素ディスペンサーの設置を開始する。水素による物流改革が欧州で加速しそうだ。(タイトル画像はイメージ)

意外や欧州で先行する、水素社会の実現に向けた取り組み

今回の取り組みに際し、トヨタモーターヨーロッパのR&D担当副社長のThiebault Paquet(ティボー・パケット)氏は、「水素エコシステムの成長に貢献するために、トヨタはすでにビジネスパートナーと協力して、高度な燃料電池システムを使用してさまざまなゼロカーボンエミッションアプリケーションを革新しています。ツインミッドフローテクノロジーの開発は、水素エコシステムの成長を促進するための当社の取り組みの次のステップです。私たちはこの新しいパートナーシップに興奮しています」と期待を寄せる。

画像: パリ2024オリンピックではMIRAIやFCEVトラックが大会をサポート。水素で動くクルマの存在をアピールした。

パリ2024オリンピックではMIRAIやFCEVトラックが大会をサポート。水素で動くクルマの存在をアピールした。

またHRS社の創設者でありCEOを務めるHassen Rachedi(ハッセン・ラチェディ)氏は、「トヨタモーターヨーロッパおよびENGIEとの戦略的パートナーシップは、水素燃料補給インフラストラクチャの革新における決定的な一歩を示しています。両社の専門知識を組み合わせることで、欧州および世界全体で水素ステーションの展開を加速し、燃料補給時間を短縮し、ステーションをよりアクセスしやすく、費用対効果の高いものにします。私たちはともに、世界の輸送の脱炭素化において水素が中心的な役割を果たす未来に向けた基盤を築いています」と新たな技術への自信を語った。

ENGIEでH2モビリティ研究プログラム責任者を務めるQuentin Nouvelot(クエンティン・ヌーヴロ)氏は、「ENGIEは、プロジェクトコーディネーターとして、また燃料補給シミュレーションと燃料補給プロトコルの専門知識を持つ研究センターとして、RHeaDHyプロジェクトを活用してトヨタモーターヨーロッパおよびHRSと力を合わせることを誇りに思っています。このパートナーシップは、高流量燃料補給ソリューションを推進することで、水素エコシステムを強化し、よりクリーンなエネルギーへの移行を加速させます。私たちはともに、持続可能なモビリティのための新たな基準を設定し、大規模な輸送の脱炭素化における水素の役割を強化しています」と語った。

日本の物流業界でも、大型トラックを中心にFCEV化が徐々に進んでいる一方で、より利便性を高めるための法改正は思うように進んでいない。社会実装と呼ぶにはまだ少々時間がかかりそうではある。そうこうしているうちに、欧州や中国ではそれを上回るスピードで水素の利活用が進んでいる。今回のコラボレーションは、そんな実情の象徴でもあり、トヨタがBMWに続き欧州のパートナーとタッグを組む新たな運用のケーススタディでもある。

画像: トヨタは国内のみならず、海外でもパートナーとともに「水素社会の実現」に向けた取り組みを行っている。2026年には次世代燃料電池システムも販売予定。(写真は2023年にブリュッセルで開催されたKenshiki Forum2023より)

トヨタは国内のみならず、海外でもパートナーとともに「水素社会の実現」に向けた取り組みを行っている。2026年には次世代燃料電池システムも販売予定。(写真は2023年にブリュッセルで開催されたKenshiki Forum2023より)

トヨタは、高い電力密度により航続距離を20%向上する新しい燃料電池システムを、2026年には販売開始する計画だ。技術の進歩と生産量の増加により、コストは3分の1以上削減されると見込まれている。水素社会なんてまだまだ先のこと、なんて思っているうちに欧州や中国に先を越されないよう、日本の関係者にはよりいっそうの奮闘に期待したい。

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