2025年1月28日(現地時間)、トヨタモーターヨーロッパは、水素充填ステーションメーカーの「Hydrogen Refueling Solutions(以下、HRS社)」、クリーンエネルギーの研究開発機関である「ENGIE Lab Crigen(以下、ENGIE)」と共同で欧州横断輸送ネットワーク(Trans-European Transport Networks:TEN-T)をカバーする大規模な水素充填インフラを開発・展開する契約を締結した。EU各国をつなぐ広大なTEN-Tネットワーク構想に則り、2025年第4四半期より、沿道にHRS社が開発した水素ディスペンサーの設置を開始する。水素による物流改革が欧州で加速しそうだ。(タイトル画像はイメージ)

乗用車にも大型貨物車にも短時間で充填が可能な新型水素ディスペンサーを開発

今回の発表は、EUが支援する「RHeaDHyプロジェクト」の一環であり、水素を利用する燃料電池車(FCEV)の社会実装に向けた大規模な実証実験が始まる宣言でもある。同プロジェクトは日本で紹介される機会は少ないが、EUが資金を拠出し、EU加盟国間を走る幹線道路における貨物輸送を脱炭素化するとともに、水素補給ステーションネットワークを構築していくことに焦点が置かれている。

画像: EUが実現を目指す水素モビリティ社会のイメージ図。水素利用の可能性を模索している。(画像はRHeaDHyプロジェクトのHPより)

EUが実現を目指す水素モビリティ社会のイメージ図。水素利用の可能性を模索している。(画像はRHeaDHyプロジェクトのHPより)

水素供給インフラを拡大するための課題のひとつは、小型車と大型車の両方の燃料電池車(FCEV)に、より速く燃料を補給できる水素ディスペンサーの開発だ。

HRS社が開発している新しい「ツインミッドフローテクノロジー」は、高流量デュアルノズルを組み込むことでこの課題に対処し、1基の水素ディスペンサーで、大型車両では10分以内に、小型車両では5分以内に水素補給が完了する。大型の40トントラックでも、航続距離600km分の水素をわずか8分で、900km分の水素を12分で補給できるという。

画像: 1基の水素ディスペンサーで充填効率の異なる車両に対応。日本では水素充填に関連する規制緩和が思うにまかせないが、欧州では新技術の登場で充填ステーションの設置コストが大幅に下がる可能性がある。

1基の水素ディスペンサーで充填効率の異なる車両に対応。日本では水素充填に関連する規制緩和が思うにまかせないが、欧州では新技術の登場で充填ステーションの設置コストが大幅に下がる可能性がある。

各充填ステーションに小型車用と大型車用の2種類のディスペンサーを設置する必要がなくなることで、設備の導入コストが大幅に下がり、施設そのもののコンパクト化が可能になる。欧州連合では、2030年までにTEN-Tネットワークに沿って200kmごとに公的にアクセス可能な水素ステーションを展開する目標を設定しているが、今回の3社の取り組みがその実現を加速することは間違いなさそうだ。

トヨタはテストベンチとして「ツインミッドフローテクノロジー」に対応したFCEVトラックを提供する。HRS社およびENGIEは、この技術イノベーションを採用した新世代の水素充填ステーションを開発し、2025年の第4四半期から運用を開始して本格的な社会実装に備える。

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