2024年11月15日に開幕した広州国際モーターショーにおいて、日産自動車の中国合弁会社である東風日産が新型EV/PHEV(=新エネルギー車)のミディアムセダン「N7」を発表した。NISSANブランドで販売されるものの、開発/生産は東風日産が行い、変化の急な中国マーケットの動向にもスピーディに対応する。中国での発売は2025年半ばを予定しており、海外への輸出も計画されている。
日米欧と異なる中国市場の価値観に応えるのが急務
いま中国のユーザーが重視するのは車内の利便性と快適性、そして自動運転関連技術であり、もはや動力性能の優先度は低い。それほどまでに急速かつ独自の変化を続ける中国マーケットに対応するには、独アウディが新ブランド「AUDI」を立ち上げたように本国ではなく中国現地で開発する以外に方法はなさそうだ。
日産においても、日米欧ほか、ある程度設計の使い回しがきくクルマと、中国現地パートナーが主体となって開発/生産されるクルマが並立することになる。すでに多くの自動車メーカーがこの事実に気づいており、そのハンドリングが問われる時代になっている。
日産は、“Excitement by NI”という新たなブランドキャンペーンを開始している。ゆくゆくはアウディのように、「NI」という新たな中国専用ブランドの誕生も予感させる。
日産にとっては現状、シルフィ頼みとなっている中国市場において再び存在感を増すには、「N7」以降に登場する新エネルギー車の成功が不可欠であることは確か。もうひとつの巨大市場である北米市場での失地回復と並び、現在の苦境から脱する新たな戦略が軌道に乗ることを期待したい。