車両価格を抑える秘策はデザインとボディ構成にあり
ではどこでコストカットを図っているのか。
外観は直線的なフロントマスクと丸目二眼のヘッドライト、そしてフロントからサイドとリア、そしてルーフまでガラス&ポリカーボネートで覆われるなど、可愛らしさと先進さを兼ね備えたデザインとなっているが、実はこのスタイル、よく見ると前後左右が対称のデザインとなっているのがわかる。バンパーやフェンダー、ドアなどの外板パネルだけではなく、フルモノコックで構成されるボディも同様だ。
これによりパネル成形する金型を減らして生産コストを削減、量産しやすいボディ構成としているのだ。そのうえでデザインを完成させているのだから、開発における苦労もあったようで、発表会に登壇した車体開発リーダーの久保昌之 氏によると「生産段階における組み立てやすさの確立や、ボディ強度の確保などコストと性能のバランスの確立はエンジニアとしての腕の見せどころだった」と語っている。
パワートレーンの詳細は公開されなかったが、登り23%(13度)勾配で車両重量430kgのボディを登坂させるモーターを搭載し、最高速は60km/h。リチウムイオンバッテリーにより100kmの航続距離(30km/h定地走行)を実現している。雨風を凌げるキャノピーがあり、リアガラスハッチを開けたところには最大45kgの荷物を積載できるラゲッジスペースなど実用性を備えるなど、ひとり乗りの超小型モビリティとしては十分な性能を持っているように見える。
車両価格は100万円に設定され、2025年度に300台が納車されるという。生産工場は現在広島県内に準備中で、量産体制が整う2026年度には3000台の生産を予定、2027年度以降は1〜2万台、将来的には10万台規模に拡大する方針だ。ただ、生産初期は300台と少量生産となるため、2025年度の納車エリアは広島県と東京都に限定される。
また一般の流通チャネルを通さない、webサイトでのダイレクト販売としていることも販売価格を抑えることに寄与している。web販売で焦点となる修理やメンテナンスのルートについては現在構築中で、パートナー企業との提携を検討している段階だという。