「ミニカー」はカオスな法律の定義が生んだ三輪・四輪版原付
軽自動車よりも小さい、日本でもっともコンパクトな「ミニカー」という車両区分。このミニカー、簡 潔にいえば、三輪・四輪版の第一種原動機付自転車(以後原付)で、ほぼ原付なのに法定最高速度は60 km/hで二段階右折も不要と、ミニマムを極めたシティコミューターとしてみると、非常に興味深いモデルだ。
どうしてこんなことになるのかというと、道路交通法上では「普通自動車」として扱われる一方で、道路運送車両法上では「第一種原動機付自転車」として扱われており、“2つの法律のはざま”に存在しているためだ。つまり、ミニカーに関する法律の定義は非常にカオスであることは間違いない。
道路交通法上の「ミニカー」の定義
さて、道路交通法では「ミニカー」に関して細かく規定がされており、以下①~⑤の条件を満たしたものを指している。
①総排気量20cc超〜50cc以下のエンジン(or 定格出力0,25kW超〜0.6kW以下のモーター)を搭載
②乗車定員は1名
③3輪以上
④車室(側面が開放された3輪車除く)を備える or 輪距(トレッド)が50cmを超える
⑤車体サイズが全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2m以下
道路運送車両法上の「ミニカー」≒原付の定義
そして道路運送車両法は、車に関する保安基準について定められた法律で、すべての車を「自動車」、「原動機付自転車」、「軽車両」の3つのいずれかに分類している。
ここで重要なのは、総排気量と車輪数で車のカテゴリーを分けており、なおかつ「ミニカー」という車両の概念が存在していない点だ。
2輪では125cc以下、それ以外の場合は50cc以下を「原動機付自転車」として定義しているため、50cc以下で3輪以上のモビリティである「ミニカー」は、道路運送車両法では「第一種原動機付自転車」として扱われるのである。