ミニカー普及の環境は整っているように見えるが・・・
普通自動車運転免許を持っていれば運転できる超小型モビリティのひとつで、全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2.0m以下、そして定格出力0.6kW以下の原動機を搭載して最高速は60km/hに制限されるひとり乗りの「第一種原動機付自転車(ミニカー)」、いわゆる原付ミニカー(以下、ミニカー)は比較的古くからある区分だ。
トヨタ車体のコムスがコンビニや食品宅配サービスで導入されて街中で見かける機会もあるが、一般ユーザーが購入して利用するケースは少なく、普及したとは言えない状況が長く続いている。
一方で、高齢者をはじめする長距離移動しないユーザーが軽自動車から三輪の原付に乗り換えることもあるが、降雨や荷物スペースの問題から再び軽自動車を買い直すケース、また地方に住む若い世代は原付バイクと軽自動車の中間のモビリティを求める声も多いのだという。
また国土交通省が調査した「自動車ユーザーの利用状況」によると、1日あたりの平均移動距離は10km未満とする人が7割、乗車人数は1人とする人が7割、高速道路をほとんど利用しない人は5割と、ミニカーが普及しやすい環境はできあがっているようにも見える。(※出展:国土交通省における超小型モビリティの取り組みについてより)
安いだけではダメ。ミニカーに求められる性能とは
では普及に必要な要素はなにか。今回、ミニカー「mibot」を発表を行なったKGモーターズの代表取締役、楠 一成 氏は、開発にあたって一般ユーザーへの調査のもと必要/不要な機能を見極め、コストパフォーマンス/安全性能/走行性能を需要に合わせてバランスさせることが重要だと語った。
コストとひとことで言っても初期導入費(イニシャルコスト)と維持費(ランニングコスト)のふたつに分けられるが、小型軽量で車検を必要としないミニカー規格EVの「mibot」は税金や任意保険料、電気代などの維持費はガソリン車の軽自動車よりも安く、8割ほど削減できるという。一方の初期導入費についても、従来購入できたミニカーと比較して低価格な100万円を予定している。
搭載する機能の見極めはこの低価格にも反映されているが、それでもエアコンやシートヒーター、インフォメーションディスプレイ、シートスライド&リクライニングなどといった快適性を担保する機能は標準装備されているのは大きなポイントとなりそうだ。
また、安全性能についても力を注いでいるように感じられる。ミニカーの開発にあたって衝突安全性能試験(クラッシュテスト)の実施は義務化されていないが、独自に設定した基準をクリアするための性能をコンピュータでシミュレーション、実際に1回目の試験を実施して安全性と課題を確認。さらなる対策を行なった上で2回以降の実施も予定しているというのだ。
本来であれば必要ない、しかも多額の資金がかかる試験をなぜ行うのか。もちろん安心して乗ってもらうためであることに加えて、ミニカーよりも大きな軽自動車からの乗り換え需要を想定して安全性の高さをアピールする目的もあるようだ。