2024年2月14日、東京都は交通局及び環境局が連携し、交通局が所有、運営する白丸発電所・白丸調整池ダムの近傍に、EV用急速充電器を設置することを発表した。急速充電器の電力に、水力発電所の電気をそのまま活用する取り組みは都内初となる。
白丸発電所の概要
東京都交通局は多摩川の流水を利用した水力発電を行なっている。白丸発電所は、西多摩郡奥多摩町にある白丸調整池ダムに併設された水力発電所だ。2000年まで、白丸調整池から多摩川第三発電所までの多摩川の河川機能維持と観光のために、一定水量が白丸ダムのゲートから放流されており、この放流水を有効活用するために建設された発電所だ。
周辺には2021年にオープンした再生可能エネルギーPR館(エコっと白丸)があり、プロジェクションマッピングを活用した大画面のジオラマシアターやデジタルサイネージ等により、再生可能エネルギーの意義や水力発電の仕組みなどを分かりやすく伝えるとともに、地元奥多摩町の観光スポット等も紹介している。
急速充電器の概要
今回の、都内初となる水力発電で生まれた電気をそのまま使用するEV急速充電器の設置は、「『未来の東京』戦略」に係る事業ということで、令和6年度歳入歳出予算が東京都議会で可決された場合に実施されるものである。
気になる急速充電器の仕様は、定格出力50kW、CHAdeMO規格タイプ。白丸発電所のすぐそばに1基が設置され、運用開始予定時期は令和7年4月ごろとされている。
一般的なEV充電では、発電時に化石燃料を使用しているためCO2を排出してしまう点が指摘されていたが、今回のような水力発電由来の電力をそのまま利用するタイプであれば、ゼロエミッション、かつエネルギーの地産地消が可能となるため、カーボンフリー社会の実現に貢献するものとなる。
こうしたゼロエミッションの充電器が各地に展開されていくことで、一歩ずつカーボンニュートラル社会に近づいていけるのか、今後の展開を見守っていきたい。