2023年10月19日、AIを活用したライドシェアによる移動体験を提供する「NearMe(ニアミー)」は同社が提唱する「シェア乗り」に関する発表会を開催した。タクシー運転手不足を解決するかもしれない究極のMaaSである「相乗りタクシー」とはどういうものなのだろうか。
現状の課題
少子高齢化とそれに伴う人口減少、またここ数年のコロナ禍での離職者の増加により、タクシー業界の人材不足は年々深刻化している。
このタクシーでの旅客輸送量を回復するために、政府は先月、10月からは個人タクシー運転手の上限年齢を80歳まで引き上げる方針を公表し、さらに一歩進んだライドシェアの解禁についても、今後検討されていくのではないかと話題になっている。
日本で一般的にライドシェアと言われているものは、GOやUber Taxiに代表される「ライドヘイリング」と呼ばれる個人向け配車サービスに分類されるもののうち、プロではなく一般人がドライバーを務める、いわゆる「白タク」のことを指す。
ちなみに、白タクという通称は、タクシーが業務用の緑ナンバーであるのに対し、一般ドライバーが白ナンバーの自家用車のまま運行することに由来する。
こうした対策は、いずれも車両やドライバーの数(量)を増やそうという発想が根底にある。しかし、NearMeが今回の発表会で提唱した「”シェア乗り”構想」は、すでにあるものの効率化を実現する「タクシーの相乗り配車サービス」により、輸送力の”質”を高めることでニーズに応えようというのだ。
つまり、配車ルートや乗車人数を最適化することがタクシーの乗車率と回転率の向上につながり、無理にドライバーを確保せずとも今ある人員と台数でやりくりできるようになるというものだ。言わば逆転の発想が、相乗りタクシーサービス「NearMe」を誕生させたのである。