2023年11月4日、日本自動車工業会が主催する「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開は10月28日〜11月5日)のなかで、次世代のモビリティ市場を率いる企業を選出するコンテスト「JAPAN MOBILITY SHOW 2023 Business Pitch Contest & Award(以下、JMSピッチコンテスト)」が行われた。

モビリティ社会の課題を解決する一手を3分のプレゼンで披露

「乗りたい未来を、探しに行こう!」をテーマに2023年10月28日から一般公開された「ジャパンモビリティショー2023」は、475もの企業・団体が出展し、111万2000人の来場者を迎えて11月5日に閉幕した。4年ぶりの開催となった今回、2019年の前回より来場者数(約130万人)こそ下まわったものの、ファミリー層やカップルなど比較的若い世代の来場が多かったのではないかと、4日間の取材を通して感じた。

その要因のひとつとして考えられるのが子ども向け職業体験施設「アウト オブ キッザニア」の展開(南展示棟)や、未来のモビリティ社会を感じられる「トーキョー フューチャー ツアー」(西展示棟1F)などの体験プログラムではないだろうか。

とくに本モビリティショーのシンボルコンテンツに掲げられていたフューチャーツアーは、未来の東京を描き、体感できるというもの。東展示棟と並んで高い集客力を有する西展示棟1Fの全面を使っての展開、映像や音響を駆使した演出、そして映画「ゴジラ-1.0(ゴジラ マイナスワン)」とのコラボレーションもあって賑いをみせていた。

この西展示棟1Fで、2023年11月4日に開催されたもうひとつのビッグイベントが「JMSピッチコンテスト」だ。

画像: JMSピッチコンテストは15社によるプレゼンが3時間にわたって行われたが、会場はほぼ満席。次世代モビリティに対する注目度の高さを感じた。

JMSピッチコンテストは15社によるプレゼンが3時間にわたって行われたが、会場はほぼ満席。次世代モビリティに対する注目度の高さを感じた。

コンテストにエントリーしたモビリティ関連のスタートアップ企業116社から審査に勝ち残った15社が、3分間のプレゼンテーションと6分間の質疑応答を行い、未来を支えるスタートアップ企業を選出するというもの。「LIFE×Mobility 未来の暮らし」、「EXCITEMENT×Mobility 未来の感動」、「INFRASTRUCTURE×Mobility 未来の社会基盤」の3つの各カテゴリーから優秀社(賞金100万円)を、さらにグランプリ(賞金1000万円と次回ジャパンモビリティショー出展の権利を授与)を決定する。

決勝に進出した「電知」や「akippa」、「パワーウェーブ」などすでに広く活躍している企業も多く、アプリや施設、研究内容などを耳にしたことがあるかもしれない。こうした15社がそれぞれ未来へかける熱いプレゼンテーションを行なった。

ただのライドシェアではない。三方良しの社会を目指したサービス

グランプリを獲得したのは、AIを活用してタクシーのライドシェアサービスを提供する「ニアミー(NearMe)」だ。ライドシェアというと白ナンバーのタクシー、いわゆる白タクをイメージするかもしれないが、同社が提案するのは緑ナンバー(営業用車両)のタクシーに相乗りするための配車サービスであり、スマホアプリだ。

自宅→空港、そして時間帯によっては乗り場で長蛇の列ができる空港→都市を結ぶニアミーエアポート、東京・千葉のゴルフ場を結ぶニアミーゴルフなどで「シェア乗り」を展開、アプリの使いやすさでも好評を博しているサービスである。

3分間のプレゼンテーションの中で、ニアミーの高原幸一郎CEO(高の字は、はしご高)は「オーバーツーリズムや外食で飲酒したい人、高齢者など、移動が制限されるとあらゆることを楽しめません。この深刻な課題の要因は、ドライバー不足と需要と供給のアンバランスさ、そして乗車定員に対する利用者(乗客)の少なさです。解決策のひとつとしてライドシェアが議論されていますが、もっと早くに実現できるのがシェア乗りです。これは自動運転タクシーサービスが普及した未来の日本でも有効でしょう。ドライバー不足の解決だけでなく、環境負担も下げられます。すでに確立されているタクシーの遊休資産と、成長を続けるAIを用いたサービスで、タクシー会社と利用者の両サイドをマッチングするプラットフォームで収益を得ています。このサービスを通じてニアミーは、住民、交通事業者、地域が三方良しの社会を作っていきたいと考えています」と熱弁をふるった。

画像: ニアミーの高原CEOは授賞式で「勝つ自信は200%と予選で言ってしまったので実現できて嬉しいです」と振り返った。

ニアミーの高原CEOは授賞式で「勝つ自信は200%と予選で言ってしまったので実現できて嬉しいです」と振り返った。

一方、「未来の暮らし」部門で優秀社(賞金100万円)に選出されたのは、多くの人がモビリティを持てる社会を作るため、そして融資における貸し手と借り手のギャップを埋めるための金融サービスを4カ国で展開するGlobal Mobility Service(グローバルモビリティサービス)だ。

そして「未来の社会基盤」部門では、モノレールとロープウェイを足して2で割ったようなモビリティ Zipparを展開するZip Infrastructure(ジップ・インフラストラクチャー)が優秀社に選出された。Zipparは2本のレールと吊り下げ式のゴンドラで構成され、低コストで軽量、そして路線設計の自由度を高められた自動運転モビリティだ。

日本自動車工業会の副会長でヤマハ発動機の代表取締役社長、そして今回のJMSピッチコンテスト審査員を務めた日高祥博氏(高の字は、はしご高)は、ニアミーの高原CEOに賞金1000万円と、副賞のジャパンモビリティショー2025出展権利を授与、そして「グランプリを取ったニアミーさんと優秀社の2社、そして決勝を戦った12社、それぞれの魅力ある企業による熱い戦いでした。ニアミーさんにはどんどん成長してもらって大企業の仲間入りして欲しいし、ここで戦ったすべてのスタートアップ社には日本を元気にする成長企業となって欲しい」とエールを送った。

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