車載UIでもAIが主役に
さて話が少しそれましたが、カーナビゲーションにおいては、すでに自動車メーカー搭載のナビではなく、スマホのGoogleマップやYahooナビを車載ディスプレイにミラーリングして使用されている方も多いと思います。筆者もその一人ですが、GoogleアシスタントにしてもMBUXにしても、まだ音声認識の精度があまり高くなく、自然言語処理能力のさらなる向上が課題です。一方、大規模言語モデルを使用した生成AIの方は、繰り返し質問に答えていく対話能力がありますから、MBUXが今回試みるようにこの2つが融合してクルマと乗員のUI(ユーザーインターフェイス)に取り込まれていくのはほぼ間違いないでしょう。
ステランティスのクーリックCTOは、現在の車載システムのUIは複雑すぎる、「一目でわかり、ワンクリックで操作(One Glance, One Click)」できるべきで、「タッチ、ボイス、視線、ジェスチャー」のいずれのコマンドにも対応するUIを確立するとしています。AIが制御するシームレスでストレスフリーな車内のユーザー体験が、2030年までに実現する可能性はかなり高いといえるかもしれません。(了)
●著者プロフィール
丸田 靖生(まるた やすお)1960年山口県生まれ。京都大学卒業後、東洋工業(現マツダ)入社。海外広報課、北米マツダ(デトロイト事務所)駐在をへて、1996年に日本ゼネラルモーターズに転じ、サターンやオペルの広報・マーケティングに携わる。2004年から2021年まで、フォルクスワーゲングループジャパン、アウディジャパンの広報責任者を歴任。現在、広報・コミュニケーションコンサルタントとして活動中。著書に「広報の極意−混迷の時代にこそ広報が活躍できる」(2022年 ヴイツーソリューション)がある。