昨年12月の発表以来、瞬く間に世界中に広がった生成AI(Generative Artificial Intelligence)のチャットGPTですが、今度は、メルセデス・ベンツが車載インターフェースのMBUXにこれを組み込み、6月16日から米国で3カ月間、90万人のMBUX搭載車ユーザーに試験提供すると発表しました。多くの人工知能の専門家が革命的な進化と呼ぶ一方で、著作権や個人情報保護の観点などから、科学者や行政府からも何らかの規制が必要という声も上がっています。果たしてチャットGPTでクルマはどう変わるのでしょうか。

車載UIでもAIが主役に

さて話が少しそれましたが、カーナビゲーションにおいては、すでに自動車メーカー搭載のナビではなく、スマホのGoogleマップやYahooナビを車載ディスプレイにミラーリングして使用されている方も多いと思います。筆者もその一人ですが、GoogleアシスタントにしてもMBUXにしても、まだ音声認識の精度があまり高くなく、自然言語処理能力のさらなる向上が課題です。一方、大規模言語モデルを使用した生成AIの方は、繰り返し質問に答えていく対話能力がありますから、MBUXが今回試みるようにこの2つが融合してクルマと乗員のUI(ユーザーインターフェイス)に取り込まれていくのはほぼ間違いないでしょう。

画像: ステランティスがCES 2023で出展したスマートコクピットモデル「クライスラーシンセシス」。STLAブレインが37.2インチのブラックグラスに様々な情報を表示する。

ステランティスがCES 2023で出展したスマートコクピットモデル「クライスラーシンセシス」。STLAブレインが37.2インチのブラックグラスに様々な情報を表示する。

ステランティスのクーリックCTOは、現在の車載システムのUIは複雑すぎる、「一目でわかり、ワンクリックで操作(One Glance, One Click)」できるべきで、「タッチ、ボイス、視線、ジェスチャー」のいずれのコマンドにも対応するUIを確立するとしています。AIが制御するシームレスでストレスフリーな車内のユーザー体験が、2030年までに実現する可能性はかなり高いといえるかもしれません。(了)

●著者プロフィール
丸田 靖生(まるた やすお)1960年山口県生まれ。京都大学卒業後、東洋工業(現マツダ)入社。海外広報課、北米マツダ(デトロイト事務所)駐在をへて、1996年に日本ゼネラルモーターズに転じ、サターンやオペルの広報・マーケティングに携わる。2004年から2021年まで、フォルクスワーゲングループジャパン、アウディジャパンの広報責任者を歴任。現在、広報・コミュニケーションコンサルタントとして活動中。著書に「広報の極意−混迷の時代にこそ広報が活躍できる」(2022年 ヴイツーソリューション)がある。

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