去る6月8日、トヨタ自動車の東富士研究所で開催された「Toyota Technical Workshop」。夢の電池と言われる「全固体電池」が2027年に実車に搭載されることが明らかにされるやいなや、投資家筋も巻き込んで大騒ぎとなったのはご存じの通りだ。もっとも、全固体電池以上に注目すべきは、あのテクノロジーだった……。(タイトル写真は全固体電池の試作品)
次世代電池(ハイパフォーマンス版)→ハイニッケルリチウムイオン+バイポーラ構造
上記のバイポーラ型普及版電池の開発と並行して、正極にマンガンやコバルトの使用量を減らしてエネルギー密度を高めたいわゆる「ハイニッケル」を採用したハイパフォーマンス版のバイポーラ構造バッテリーの開発も進んでいる。
NCM系の次世代電池(パフォーマンス版)をさらに10%上回る航続距離を実現する一方、コストは10%低減して急速充電時間は20分以下と次世代電池(パフォーマンス版)と同等。こちらも豊田自動織機との共同開発だ。量産開始目標は2027年を目標としており、次世代レクサス車を始め、トヨタの上級車や大型SUVなどに搭載されるとみられる。
全固体電池
全世界から注目されている全固体電池は、早ければ2027年にも導入される模様。従来の計画では、まずはハイブリッド車から導入を始めるとアナウンスされていたが、技術的課題であった耐久性の問題を解消するブレークスルー技術の開発に成功したため、計画の見直しを実施。
新たにBEV用バッテリーとして実用化に向けた開発が加速している。前述の次世代電池(パフォーマンス版)比で航続距離は20%向上、つまり1200km以上の実現が可能で、しかも急速充電時間は10分以下になるという。
さらに将来を見据えた、もう一段レベルアップした仕様も同時に研究開発中で、こちらは航続距離1800kmを目指している。エネルギー密度を極限まで高めるというが、もはや一般的な乗用車に求められるレベルは超えている。大型の長距離バスやトラックなど商用分野での活用を視野に入れているのではないだろうか(だとすれば、FCEVとの棲み分けが気になるが)。