イタリアのミラノで、6月5日にレクサスの小型クロスオーバー車「LBX」が発表され、その2日後には、ボルボの「最も小さなSUV」である「EX30」がお披露目されました。2035年にゼロエミッション車を義務付けたEUですが、今年1〜4月の欧州31カ国(※1)の乗用車市場ではEVのシェアが13.3%、ハイブリッド車(HEV)(※2)は25.9%と、どちらも前年同期比で約2%増加しています。電動モデルの販売が拡大を続ける欧州にあって、時を同じくして発表された両モデルですが、その内容はかなり異なっているようです。※1:イギリスとEFTA(アイスランド、ノルウェー、スイス)を含む。出典:欧州自動車工業会(ACEA)。※2:マイルドハイブリッド車を含む。

「LBX」は普通に小さなレクサス

レクサスLBXは、全長×全幅×全高=4190×1825×1560mmで、ヤリスクロスと同様にトヨタの「GA-B」プラットフォームをベースに開発されています。ボディの強化やサスペンションの軽量化を施していますが、パワートレインは1.5Lガソリンエンジン+モーターのお馴染みのフルハイブリッドです。システムの最大出力と最大トルクは100kW(136ps)と185Nmと強化されており、0→100km/hの加速は9.2秒とこのクラスとしては俊足と言える性能です。プラグインハイブリッドやEVのバリエーションについては言及されておらず、導入予定はないと考えて良いでしょう。

画像: 仏メーカーの新型車だと言われても納得しそうなエクステリア。レクサスモデルとしては最もヨーロピアンなデザインになっている。

仏メーカーの新型車だと言われても納得しそうなエクステリア。レクサスモデルとしては最もヨーロピアンなデザインになっている。

エクステリアは、スピンドルグリルの上部の切れ込みを省略した「ユニファイド」グリルを採用し、新型プリウスと同様に左右のヘッドライトをシームレスに繋ぐ処理など、新世代のデザインを感じさせます。ボディサイドの造形は中央を絞り込み、Cピラー下部でボリュームを出しながら下降するルーフラインとともに凝縮感を生み出しています。

デザインコンセプトは「プレミアムカジュアル」ですが、インテリアは、レクサスの上位モデルの「ラグジュアリー」の文法をトリクルダウンした印象で、メーター類はステアリングの後ろに、センターディスプレイはダッシュボードの高さより下に来る伝統的なレイアウトです。シートは、タンの本革やスウェードを使うなど、従来の高級車の価値観に沿ったもので、リサイクル素材の使用などの記述はプレスリリースにもありません。

画像: 水平基調のダッシュボードや縦型のセンターディスプレイはスッキリしているが、上級モデルの意匠をそのまま移植した印象。目指したという休日のスニーカーファッションの「ドレスダウンしたカジュアル感」はあまりない?

水平基調のダッシュボードや縦型のセンターディスプレイはスッキリしているが、上級モデルの意匠をそのまま移植した印象。目指したという休日のスニーカーファッションの「ドレスダウンしたカジュアル感」はあまりない?

売りの一つは「bespoke build」で、色や内装の組み合わせを計算上は33万通りから選べるようですが、こうした注文生産を上質なスモールカーを選ぶユーザーがどの程度求めているのか、マーケティング担当者に聞いてみたいところです。LBXとは、“Lexus Breakthrough Crossover”の略だそうですが、今回のデザインやパワートレインから見る限り、“ブレークスルー(Breakthrough)”というには物足りない気がします。

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