EV専業メーカーとして快走を続けるテスラが、5月18日に株主総会を開催しました。そこで明らかになったことと、3月1日の「インベスターデー」での発表内容を合わせて紹介します。テスラが描く壮大なビジョンには改めて驚きを感じざるを得ないでしょう。(タイトル写真はYouTubeで配信された株主総会の模様)

持続可能なグローバル経済を実現する道程は見えている

新たなマスタープランが発表されるのは、2016年の「マスタープラン2」以来ですが、まず最初に、2050年までに脱化石燃料による「持続可能なグローバル経済」を達成するためには、30TW(テラワット)の自然エネルギー発電能力と240TWhの蓄電池が必要で、そのために世界の年間GDPの10%にあたる1000兆ドルの投資で可能で、それは十分達成可能であるとしました。

画像: 自然エネルギー発電量と比較して蓄電池の必要量が大きく、この分野を加速する必要がある。

自然エネルギー発電量と比較して蓄電池の必要量が大きく、この分野を加速する必要がある。

そのためには2030年までに、2022年実績と比較して3倍の太陽光・風力などの自然エネルギー発電能力、19倍の蓄電池の設置、11倍のEV販売の達成が必要となります。世界の電気需要を賄うに必要な再生可能エネルギー発電の面積は、全地表面積(※3)のわずか0.2%に過ぎないのでスペース的には全く問題ないとしています。※3:テスラによれば321億エーカー(約13億平方kmで、その0.2%は26万平方km。イタリア全土(30万平方km)に近い面積。

240TWhの電力を蓄える電池を設置するには、まずは電池の生産を増大させなければいけません。テスラは、2014年に家庭用蓄電装置であるパワーウオールを自社で開発・発売しましたが、加えて産業用蓄電池(パワーパック)や最大4MWhの電力系統用蓄電池(メガパック)の生産を加速させています。移動式蓄電池とも言えるEVは、昨年の世界生産台数である600万台を年8500万台まで増やす必要があるとします。

そうして到達した脱化石燃料の経済では、一次エネルギーの消費量は現在の半分の84PWh(ペタワットアワー)になるとしています。これは現在8割以上を占める化石燃料のエネルギー効率が35〜55%程度と「再生可能エネルギー+蓄電池」に比べて低いからです。

テスラは、2030年のEV販売目標台数を2000万台とし、それが現在のメインの事業ですが、太陽光パネルとEV搭載の電池を含めた蓄電池を電力グリッドを介して接続し、電力の供給と需要に応じて最適に制御するバーチャル発電所(VPP)として機能させることで、エネルギーカンパニーになることを目指していることがわかります。

画像: テスラの構築するエネルギーマネジメント体系。インベスターデーでは夜間に風力発電量の多いテキサス州でパワーウォールを持つテスラオーナー向けに夜間充電料金が月額30ドルという破格のプランが発表された。

テスラの構築するエネルギーマネジメント体系。インベスターデーでは夜間に風力発電量の多いテキサス州でパワーウォールを持つテスラオーナー向けに夜間充電料金が月額30ドルという破格のプランが発表された。

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