持続可能なグローバル経済を実現する道程は見えている
新たなマスタープランが発表されるのは、2016年の「マスタープラン2」以来ですが、まず最初に、2050年までに脱化石燃料による「持続可能なグローバル経済」を達成するためには、30TW(テラワット)の自然エネルギー発電能力と240TWhの蓄電池が必要で、そのために世界の年間GDPの10%にあたる1000兆ドルの投資で可能で、それは十分達成可能であるとしました。
そのためには2030年までに、2022年実績と比較して3倍の太陽光・風力などの自然エネルギー発電能力、19倍の蓄電池の設置、11倍のEV販売の達成が必要となります。世界の電気需要を賄うに必要な再生可能エネルギー発電の面積は、全地表面積(※3)のわずか0.2%に過ぎないのでスペース的には全く問題ないとしています。※3:テスラによれば321億エーカー(約13億平方kmで、その0.2%は26万平方km。イタリア全土(30万平方km)に近い面積。
240TWhの電力を蓄える電池を設置するには、まずは電池の生産を増大させなければいけません。テスラは、2014年に家庭用蓄電装置であるパワーウオールを自社で開発・発売しましたが、加えて産業用蓄電池(パワーパック)や最大4MWhの電力系統用蓄電池(メガパック)の生産を加速させています。移動式蓄電池とも言えるEVは、昨年の世界生産台数である600万台を年8500万台まで増やす必要があるとします。
そうして到達した脱化石燃料の経済では、一次エネルギーの消費量は現在の半分の84PWh(ペタワットアワー)になるとしています。これは現在8割以上を占める化石燃料のエネルギー効率が35〜55%程度と「再生可能エネルギー+蓄電池」に比べて低いからです。
テスラは、2030年のEV販売目標台数を2000万台とし、それが現在のメインの事業ですが、太陽光パネルとEV搭載の電池を含めた蓄電池を電力グリッドを介して接続し、電力の供給と需要に応じて最適に制御するバーチャル発電所(VPP)として機能させることで、エネルギーカンパニーになることを目指していることがわかります。