完全自動操縦できる無人ジェット機を開発
室蘭工業大学は、2005年に設立された航空宇宙機システム研究センターを中心とする学生・教員チームで、長年にわたって高速度飛行技術の研究を進めてきた。2017年には低速のプロペラ機での自動操縦に成功し、今回は、国内大学として初めて無人ジェット機「オオワシ」の離着陸を含めた完全自動飛行を達成した。
マルチコプターは、操縦の容易性から広く産業利用されているものの、空気抵抗が大きく、長距離の低燃費飛行には向かない一方、固定翼機は自動操縦の技術的難度が高いが、空気抵抗は小さく、より高速で長距離の観測や物資運搬に適している。無人ジェット機での完全自動操縦については、一部の民間企業が成功しているが、国内の大学では初の快挙となるようだ。

離陸後上昇する「オオワシ」。
同大学が開発した無人ジェット機「オオワシ」は超音速飛行を念頭に設計された機体で、クランクト・アロー翼(※)と呼ばれる主翼形状を採用している。
※クランクト・アロー翼:主翼の付け根側は大きな後退角をつけ、先端側は後退角を緩めた主翼形状で、超音速飛行性能と低速・高迎角領域の空力性能を両立できる。
これまで、風洞実験や車載走行試験による空気力学特性の把握や機体構造へのフィードバックに加え、着陸脚設計、燃料タンク設計やインテーク設計などが進められてきた。
機体製作は当初、本州の業者に依頼していたが、次第に内製率を高め、同大学の航空宇宙工学コース有志によって精度の高い組み立てノウハウを確立。操縦精度を決める舵面のエレベーター軸などは地元室蘭の永澤機械に依頼して、1/100mmの精度で製作された。
自動制御については、手動操縦を組み合わせる形で培った運用ノウハウ・操縦性の改善をベースに新構築した自動制御システムにより、高速飛行での安定制御を可能とする制御システムを設定した。
また、高度情報はGPS・気圧センサとともに、最終アプローチではレーザー距離計を併用することにより精度の高い着陸を実現し、テレメトリには920MHz帯の通信機器を使用している。ちなみに、1機あたりのトータルコストは100万円程度だそうだ。
今後の展望
高速かつ航続距離の長い固定翼無人機は、広大な北海道の地域産業での活用のほか、火山噴火時、水難事故などの災害時広域観測において有用であると期待されている。
同大学は今後、目視外飛行の実現に向け、機体の大型化と燃料搭載量の増加、長距離無線伝送技術の実装を進める方針だ。
また、「オオワシ」の現在の最高速は250km/h程度だが、将来的に超音速までの飛行も可能な機体形状で、きわめて高速での初動能力を有することから、高速の1番機に続いてホバリング可能なVTOL固定翼機の編隊を現場に送るなどのハイ・ローミックスでの運用形態も視野に入れている。
さらに、「オオワシ」以外にも、垂直離着陸性を備えた無人機を活用した積雪深度のレーザー計測など様々な実証研究も進めており、さまざまな用途に合わせた多彩な無人機活用の研究も実施していくという。
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