自動運転に早くから取り組んできたVW
VWは早くから自動運転技術の開発に取り組んできました。筆者がVWジャパンに在籍中の2006年には、ドイツ・ウォルフスブルク本社北の広大なテストコース「エーラ・レシエン」に腕自慢の自動車ジャーナリストを招いてゴルフGTIの自動運転車とジムカーナで競わせたり、2007年秋には米国国防総省の高等研究機関DARPAの主催するロボットカーレースに、スタンフォード大学のAI研究室と組んでパサートワゴンベースの「Junior」を出走させたりしました。
2010年代にVWグループリサーチ部門の研究を引き継いだアウディは、A7ベースのロボットカーをドイツのホッケンハイムサーキットで全開走行させ、ミュンヘンのアウトバーン7号線で130km/hまで自律で車線変更する「レベル3」のA7の研究車両で数カ月間一般人向けの同乗試乗を行いました。2017年に発表したアウディA8では、世界で初めて量産車にLiDARを搭載して60km/h以下の高速道路で「ハンズオフ・アイズオフ」が可能な「レベル3」の自動運転システム「トラフィックジャム パイロット」を発表しています(結局このシステムは未発売。)

DARPA主催の「アーバンチャレンジ」に出場したVW&スタンフォード大学のJuniorは、当時1台1000万円といわれたLiDARを搭載した。ジョージエアフォース基地内を6時間走って順位はGM&カーネギーメロン大学の「Boss」と僅差の2位だった。
MaaSの可能性に着目したVWは、2016年にモビリティサービスを開発するMOIAをベルリンに設立、2019年にはグループの自動運転システムの開発を集約してVWAT(Volkswagen Autonomy GmbH)をミュンヘンとウォルフスブルクに設立しています。2020年には米国の自動運転開発スタートアップのArgo AIにフォードと共に出資して主要株主となり、「レベル4」の自動運転車両の開発・運行を目指しましたが、実現までに莫大な費用と時間がかかることから2022年に両社は撤退し、Argo AIは解散しました。

テキサス州オースティンでもID.Buzz ADのテスト走行を重ねてきたVWは、Uberと提携して2026年からロサンゼルスを皮切りに米国でロボタクシーを展開すると発表。



