
お手頃価格の「エレクトリック・アーバンカー・ファミリー」の一員
去る2025年2月5日にティーザー画像が公開、同月13日にはSNSにデザインスケッチもアップされ、ワールドプレミアが迫っていた「ID.1」のコンセプトモデルが、3月5日(現地時間)、ついに公開された。あくまでコンセプトモデルなので「ID.EVERY 1」と名付けられているが、2027年に発売される量産モデル「ID.1」に限りなく近いのは間違いなさそうだ。

19インチの大径ホイールとフレアフェンダーはコンセプトカーゆえ(?)。生産モデルではもっと控えめになると思われる。
フォルクスワーゲンは、「ID.2(all)」とその派生車(GTIやSUVなど)、そして「ID.EVERY 1」とその派生車の一群を「エレクトリック・アーバンカー・ファミリー(Electric Urban Car Family)」と呼んで、今後A/BセグメントにさまざまなEVを投入する計画だ。
今回は、あくまでコンセプトカーのものであると前置きされながらも、はじめていくつかの具体的なスペックを交えて紹介されている。
コンセプトカーは全長3880mm、全幅1816mm、全高1490mm、ホイールベースは2539mm。2026年に先行発売されるBセグメントの「ID.2」の全長は4050mmなので、さらにひと回りコンパクトなボディサイズだ。一方、室内空間はポロ(全長4074mm)に匹敵すると説明されている。
あえて4人乗りとすることで十分な居住空間を実現するとともに、305Lのラゲッジスペースも確保してシティコミューターとしての使い勝手を追及している。なお、全幅が1800mmを超えているのは、コンセプトカーならではの19インチホイールを装着するため、フェンダーが膨らんでいるからだと思われる。量産型はもっとスリムになるだろう。

4人乗りながらラゲッジスペースは305Lを実現。さまざまなアレンジが可能とされた。
優れたスペース効率は、ID.2から採用が始まる前輪駆動EVに特化した「MEBプラットフォーム」によって実現されており、70kW(95ps)を発生するシングルモーターによって駆動される。搭載されるバッテリーの種類・容量は明かされなかったが、最高速は130km/h、航続距離は少なくとも250km以上であることが謳われた。シティコミューターとしての機能・役割に徹したパッケージングであることが伺われる。
愛嬌のあるエクステリアデザインは、ID.2(all)から採用される新しいデザインフィロソフィに則ったもの。ボクシーでシンプルなラインと曲線を巧みに組み合わせて、がっしりとして見える。インテリアのデザインも装飾的要素を極力省きながら、左右いっぱいまでフラットに処理されたダッシュボードによって、実際の寸法よりも広々と見える。歴代ゴルフや生産を終了したup!にも通じるセンスである。