では、ホンダの勝算はどこにあるのか
ホンダ最大の強みは、ゼロシリーズに共通する「本格SDV」であるという点だろう。すでにアナウンスされているとおり、2026年前半にはゼロシリーズ第1弾の「ゼロSUV」が発売される。
車格的には現行CR-Vクラスになると思われるが、そこで初採用(正確にはアキュラ RSXが直前に登場するが)される「ASIMO OS」や集積型E&Eアーキテクチャーは、あとに続くゼロシリーズにも共有される。安全運転支援システム(ADAS)/自動運転(AD)領域をはじめ、さまざまな機能を購入後にアップデートすることが可能になる。もちろん、ゼロ第3弾のエントリーSUVでもそれが可能だ。3万ドル以下でこれを実現するのは、他のブランドでは難しいはずだ。
北米にも熱心なホンダファンは存在し、そのブランドロイヤリティはiPhoneのそれに近いと言われている。まずはHondaであることが重要で、そんなファンはホンダEVのラインナップ強化を熱望しているとも聞く。事実、2024年に発売された「Prologue(プロローグ)」は、事実上のGM製でありスターティングプライスも4万7400ドル(約732万円)からと安価ではないにもかかわらず、想定外に多くのホンダファンが飛びついた(潤沢な販売奨励金の投入と税額控除の恩恵という見方もあるが)。
より安価で、しかもOTAによってさまざまな付加価値を与えられるゼロシリーズ、中でも衝撃的なプライスで登場する第3弾エントリーSUVは、政策とは無関係に大ヒットを予感させる。ライバル各社をも巻き込んで、北米のEV普及が一気に活性化するかもしれない。なお、同車は早ければ2027年前半にも日本上陸を果たすだろう。その日を期待して待ちたい。