2025年1月8日(日本時間)から、米国ラスベガスで始まった電子機器の見本市「CES 2025」。ホンダは、次世代EV「Honda 0(ゼロ)」シリーズの第1弾として2026年前半に米国を皮切りに日本、欧州でも発売する「ホンダ ゼロ SUV」のプロトタイプを世界初公開。さらにSDVを中心とした次世代EV戦略の概要と、その実現に向けたロードマップを併せて説明した。少々難解かもしれないが、ホンダが目指すモビリティ革命のあらましに、しばしお付き合いいただきたい。

本当の勝負は2028年から? SDV技術が量販車クラスに下りてくる

冒頭に紹介したロードマップによれば、2028年から2030年にかけてゼロシリーズ第2世代とも呼べる3台の新型車が発売されることになっている。コンパクトSUV、スモールSUVそしてコンパクトセダンだ。いずれも大衆車クラスであり量販車である。

さらに上述のとおり2020年代後半には、E&Eアーキテクチャーがセントラルアーキテクチャーに進化する。セントラルアーキテクチャーは高度なテクノロジーではあるが、実は車両の生産コストは大幅に圧縮される。またすでに発表されているが、2028年にはカナダ・オンタリオ州に新設されるEV専用工場の稼働も始まる。つまり、2028年を境に廉価なSDVを米国やカナダなどで大量に生産することが暗示されている。

ホンダはこの2028年から始まる数年間を「勝負の年」と位置づけ、充電インフラやエネルギーマネジメントも含めて着々と準備を進めているようだ。日産や三菱自動車との協業のタイムスケジュールもそれを念頭に置いて進められているはずである。

もちろんそれまでに、ゼロシリーズのSUV、サルーン、まだ公開されていないエントリーSUV、2027年発売予定の3列大型SUVもOTAによって着実に進化していく。さらには2026年から登場する次世代ハイブリッド車にも、ゼロシリーズで培ったSDVの要素技術が投入されて、ホンダ車の電動化/SDV化は一気に加速するだろう。

画像: 2028年に量販車クラスの第2世代ゼロシリーズ投入を予定。手ごろな価格の本格SDVが実現する可能性が高い。

2028年に量販車クラスの第2世代ゼロシリーズ投入を予定。手ごろな価格の本格SDVが実現する可能性が高い。

折しも2028年前後には、欧米メジャープレイヤー各社からも独自のビークルOSとセントラルアーキテクチャーを採用するSDVラインナップがほぼ出揃う。そのなかで、ホンダがどこまで独自性を発揮し、さらに中国勢とも勝負できる低価格を実現できるのか。その頭出しという重要な役割を担う「SUV、サルーン、エントリーSUV」の役割は重大であり、その出来栄えはまさしくホンダが考えるスマートモビリティの未来を占うメルクマールとなりそうだ。さらなる続報を期待して待ちたい。

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