本当の勝負は2028年から? SDV技術が量販車クラスに下りてくる
冒頭に紹介したロードマップによれば、2028年から2030年にかけてゼロシリーズ第2世代とも呼べる3台の新型車が発売されることになっている。コンパクトSUV、スモールSUVそしてコンパクトセダンだ。いずれも大衆車クラスであり量販車である。
さらに上述のとおり2020年代後半には、E&Eアーキテクチャーがセントラルアーキテクチャーに進化する。セントラルアーキテクチャーは高度なテクノロジーではあるが、実は車両の生産コストは大幅に圧縮される。またすでに発表されているが、2028年にはカナダ・オンタリオ州に新設されるEV専用工場の稼働も始まる。つまり、2028年を境に廉価なSDVを米国やカナダなどで大量に生産することが暗示されている。
ホンダはこの2028年から始まる数年間を「勝負の年」と位置づけ、充電インフラやエネルギーマネジメントも含めて着々と準備を進めているようだ。日産や三菱自動車との協業のタイムスケジュールもそれを念頭に置いて進められているはずである。
もちろんそれまでに、ゼロシリーズのSUV、サルーン、まだ公開されていないエントリーSUV、2027年発売予定の3列大型SUVもOTAによって着実に進化していく。さらには2026年から登場する次世代ハイブリッド車にも、ゼロシリーズで培ったSDVの要素技術が投入されて、ホンダ車の電動化/SDV化は一気に加速するだろう。
折しも2028年前後には、欧米メジャープレイヤー各社からも独自のビークルOSとセントラルアーキテクチャーを採用するSDVラインナップがほぼ出揃う。そのなかで、ホンダがどこまで独自性を発揮し、さらに中国勢とも勝負できる低価格を実現できるのか。その頭出しという重要な役割を担う「SUV、サルーン、エントリーSUV」の役割は重大であり、その出来栄えはまさしくホンダが考えるスマートモビリティの未来を占うメルクマールとなりそうだ。さらなる続報を期待して待ちたい。